6.プロダクトアウトから、マーケットインの発想に変える
特にメーカーなどはそうですが、自社製品を作って、「これを作ったから買って下さい」というのがプロダクト・アウトの発想です。
営業マンは、自社製品に誇りを持ち、効率的に自社製品やサービスを売る技術を磨くことに価値があるのですが、時代の変わり目、顧客ニーズが変化しているときにプロダクトアウトの発想にとどまっていると、業績は伸びません。
伊藤忠は「行商」が出発点であり、創業者の伊藤忠兵衛が麻生の卸売りをする近江商人でした。長男の長兵衛さんといっしょに開業し、商売は忠兵衛さんの方が強かったけれど、家の中では長男の力が強い。
良いところだけ長兵衛さんがとって「忠兵衛、お前はこれをやれ」と、大変なところばかりをやらされる。最後は仕方がないので貿易業に乗り出し、海外へ進出する。
そこが伊藤忠商事の出発点でした。岡藤会長は社内で「マーケットイン」の発想に切り替えよ。と盛んに言っています。
天秤棒を担いだ行商の強みは、単に麻生を売るだけではなく、売った先で「次はこんなものはないんかな?」と言われたらその御用聞きで商いの幅を広げていく。フットワークの軽さ、三菱商事や三井物産にはできない商法。
顧客のニーズ、指向にともなって大胆に商売を作っていく手法。それは、総合商社の在り方にも大きく影響します。
総合商社が「選択と集中」をすると、ひとつの分野にとらわれてしまう。メーカーとは違うのだから、一つの分野に集中して投資する必要はないわけです。
逆にいろいろな業界で商機を見つけていくには、繊維でも、食料でも、幅広くアンテナを張っておく。そうすると伊藤忠が得意とする生活消費関連分野で営業品目が増え、総合力が増すわけです。
顧客の希望にあわせて柔軟に商売を開発していく柔軟さ、フットワーク。変化の多い時代にはマーケットインの発想で本業を継続させていかなければなりません。
※ 引用:岡藤正広「伊藤忠はこうして財閥に勝った」三菱商事、三井物産を追い越したウラ 文藝春秋digital
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