「台湾のために戦う」と当然のごとく言えるようになった日本の進歩

 

麻生、安倍発言はどうなのか?

最近は、安倍元総理も中国、台湾について、麻生さんとほぼ同じ内容の発言をしています。本質は、「台湾有事の際、日本はアメリカと共に、台湾を守るために戦う」ということ。

これは、どうなのでしょうか?私は、「そうするべきだ」と考えます。なぜ?まず、台湾について。中国が台湾を併合すれば、香港のようになるでしょう。言論の自由、集会の自由、結社の自由はなくなり、「反日教育」が開始されます。10年後、現状世界一の親日国台湾は、中国、韓国並の「反日台湾省」になっているでしょう。中国政府は、台湾に命令します。「日本から尖閣を奪ってこい!」と。こうして、かつて愛しあっていた日本人と台湾人は、戦う羽目になる。

もう一つ、日本自身のことです。もし日本が、台湾防衛のために戦わなければ、日米同盟はどうなるのでしょうか?この件、世界一の戦略家ルトワックさんが新刊『ラストエンペラー習近平』の中で、はっきり書かれています。

(台湾)危機が起きたとき、日本が紛争に巻き込まれたくないという姿勢を見せた瞬間に、日米同盟は終わる。(83p)

おわかりでしょうか?台湾有事の際、日本が「中立を保とう」と考え、ダラダラしていたら、「日米同盟は終わる」のです。

アメリカの気持ちも、わかるでしょう。「軍事同盟」というのは、「戦争時に助け合う」ためにあるのです。戦争が起こったとき、「なんとか米中台と仲良くできないか」などと狡猾なことを考えていたら、「日本は、同盟国としてまったくアテにならない。日米同盟は、アメリカにとって無意味だ!」となるに決まっています。

ちなみに、日本は第一次大戦時、イギリスの陸軍派遣要求を断りつづけました。結果、世界最強の同盟国イギリスは幻滅し、「日英同盟」は破棄されることになったのです。私は自虐史観の持ち主ではありませんが、日本の不誠実さは、高くついたのです。

さて、日米同盟が破棄され、米軍が沖縄から去ればどうなるでしょう。当然、中国は、まず尖閣を奪い、その次に沖縄を奪うでしょう。なんといっても、中国は「日本に沖縄の領有権はない!」と宣言しているのですから。

というわけで今年、日本人は根本的に変わりました。それは、「正しい変化」に違いありません。しかし、「台湾を守るために中国と戦闘する」というのは、「大変なことである」という自覚も必要です。「正しい道」が「平坦な道」とは限らないのです。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2021年12月19日号より一部抜粋)

image by: 防衛省 海上自衛隊 - Home | Facebook

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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