いま「ビール醸造施設付き酒場」が増加中のワケ。立地を選ばぬ“強み”の秘密

 

根強いファンがいて立地を選ばない

ライナのクラフトビールレストランでのクラフトビールの価格は、ハーフパイント(270㏄程度)450円、1パイント(500㏄/アメリカンパイント)750円となっている。一般的なクラフトビールレストランでは1パイントが大抵1,000円を超えていて、同社の価格は安価である。それは同社が自社でブルワリーを持ち、大量に生産しているからにほかならない。小川氏はこう語る。

「ブルワリーは装置産業なので固定費をどう落とすかということがポイントです。ある程度設備投資をすると原価は下がる。一人で1日100リットルの仕込みをするのか、500リットルなのか、1,000リットルなのか、いずれにしろここの仕事には一日かかる。1回の仕込み量を増やすことによって生産量が上がって固定費は下がる。当社では、このような仕組みをつくったので、クラフトビールの価格を安価で設定できる」

開業事例が相次いでいるブルワリーパブは、当初は1店舗からスタートすることになるが、この場合どのように生産性を維持していていけばよいのだろうか。

「料理人が接客係を担当するという発想で解決できる。つまり、ビールの醸造家が調理や接客も兼務するということ。また、仕込みのタンクを100リットルが3基、5基とするのではなく300リットル2基の方がいい。こうすると一月の仕込み回数が減ることになり、同時に生産性が高くなる」

前述した通り、クラフトビールのファンはとても根強いものがある。そこで、二等立地といわれるようなところで、大きな醸造タンクを入れて仕込み回数を減らし、醸造家が料理も接客もこなし、根強いファンがリピーターになり、お客が回転する、といったようなパターンをつくると確実に繁盛店となっていく。

print
いま読まれてます

  • いま「ビール醸造施設付き酒場」が増加中のワケ。立地を選ばぬ“強み”の秘密
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け