追い詰められたロシアが爆発。プーチンを疑心暗鬼にしたNATOの大罪

 

「ソ連=ロシア」ではない

日本人の多くは、ロシアというとソ連のイメージがあります。というより、世界中の人にとって、ロシア=ソ連というイメージはまだ払拭できていないようです。

が、ソ連と今のロシアは明確に違います。というより、今のロシアがソ連から脱退することによってソ連は崩壊したのです。つまり、ソ連を崩壊させたのは、今のロシアなのです。

ソ連というのはそもそも15の共和国が連邦してできた国でした。が、ソ連は1970年代から深刻な経済不振に陥り、国内が困窮するようになりました。1985年、ゴルバチョフ書記長の就任により、政治経済の大幅な改革「ペレストロイカ」が推し進められ、グラスノスチ(情報公開)にも着手されました。また民主化も一部、認められるようになりました。

その結果、ソ連を構成していた15ヵ国や自治区が軒並み「主権」を主張しはじめたのです。そして1991年の12月、ソ連の中核だったロシア、白ロシア、ウクライナの3ヵ国の代表が秘密会談を行い、ソ連からの離脱を決定します。ここで、ソ連は崩壊してしまったのです。

ソビエト連邦は、事実上、ロシア共和国を中心に構成されていました。が、ソビエト連邦政府と、ロシア共和国政府は別個のものであり、両者は主従関係にありました。もちろんソビエト連邦政府が主で、ロシア共和国が従です。

しかし、ソ連の晩年、ロシア共和国の政府がソ連の政府に背いたのです。ソビエト連邦の晩年、ソ連の指導者は、書記長から大統領となっていたゴルバチョフでしたが、クーデター未遂事件などが起き、指導力が低下していました。それに代わって影響力を強めていたのが、クーデター未遂事件を解決に導いたロシア共和国最高議会議長エリツィンでした。エリツィンはソ連の指導者ではなく、ロシア共和国の指導者だったのです。

エリツィンは、連邦内の他の国々や自治区にも働きかけ、ソビエト連邦政府の影響を排除する運動を推し進めました。その結果、ロシア、白ロシア、ウクライナの連邦からの離脱となったわけです。ロシア、白ロシア(今のベラルーシ)、ウクライナがソ連から離脱したので、他の連邦構成国も次々に離脱し、ソ連は崩壊したのです。

つまり、今のロシアという国は、ソ連政府に背くことで成立した国なのです。

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