北朝鮮の刑務所生活がもとで亡くなったワームビア氏家族の米国裁判所での勝訴、そして実際に多少なりともお金が払われたことが、日本での川崎さんの東京での裁判につながりました。
賠償金が支払われることはなかったにせよ、こういった形でNYタイムズに取り上げられるなど、国際的なアピールには成功しています。
北朝鮮への圧力のかけ方として、他の国にいる同種の被害者と協力して行動を起こすという事はもっと考えてよいでしょう。
日本だけで北朝鮮政府に圧力をかけるには限界があるからです。
もし他の国も関係している例があるのであれば、その国の現地の新聞もとりあげるでしょう。今も日本に戻ってきていない拉致被害者が北朝鮮にいることの大きなアピールになります。
すこし話を変えます。
第二次世界大戦中、米国政府は日系アメリカ人を強制収容所に入れました。
それにについてレーガン大統領、ジョージ・ブッシュ大統領らの大統領が謝罪し補償しています。現在のジョー・バイデン大統領も強制収容を「アメリカ史で最も恥ずべき歴史のひとつ」と非難しています。
アメリカのような大国がなぜ日系アメリカ人にこれほど何回も謝罪しているのでしょうか?
日系アメリカ人市民同盟らの活動も大きいでしょう。しかし、それで米国政府が動かされるとは思いません。
ここからは私の想像ですが、ユダヤ人等、ある種の差別をされてきていて、将来に強制収容所に収監をされる事を多少なりとも心配するような団体が強力に動いているのだと思います。
その運動により米国政府が日系人に謝罪したのです。
彼らにとって、日系人の強制収容所収監の歴史は話のネタにすぎません。
「米国人である限りは、どのようなバックグランド、血筋、宗教であっても、それを理由に強制収容される事があってはならない」という運動を自分たちのためにしているのです。
その運動の分かりやすい例として日系人強制収容の歴史が使われているだけです。
話を現代の日本に戻します。
日本は国際社会に主張、アピールすべき事が沢山あるでしょう。もちろん、日本人である我々自身がそのアピールを繰り返すことは大事です。
しかし、同じ問題を抱えているほかの国の団体がないかを調べて、彼らを巻き込むことも国際世論の形成において非常に重要だと考えます。(この記事はメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』7月24日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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