「13歳未満の一人歩き」は昼でも違法?日本とは違う米ニューヨークの子育て事情

Cute Asian children holding hand together while going to the school outdoors,Back to school concept
 

田舎に限らず、東京は恵比寿の住宅街を歩いた時でした。路地裏でまだ4~5歳の男の子と女の子がふたりだけで遊んでいました。住宅街の路地裏なので、そこにある住宅が住まいなのでしょう。前方に見える男の子の方が自宅に入っていきました。僕が横切る時には女の子ひとりでした。ちょうどその時、女の子が手に持っていた、緑色の象の形をしたおもちゃのジョウロの柄の部分が、パカっと外れてしまいます。象の鼻が取れた状態。びっくりした女の子は「ゲンちゃんのゾウがこわれたぁあ」と泣き出しました。ちょうど僕が真横に来たタイミングで、通りすがりの僕にバラバラになった顔と鼻を差し出してきます。「こわれてないよ、かして」と手に持って鼻をはめ込みます。「ほい、ゲンちゃんにこれで怒られないから、もう泣くなよ」としゃがんで、元通りになったジョウロを手渡そうとしました。その瞬間、真横から人影が目にも止まらぬ速さで、女の子をさらっていきます。

「ども!ありがとうございます!!!!」早口でそう言い残して、必死の形相のおかあさんが、娘さんを連れて勝手口から自宅に入って行きました。逃げるように。次の瞬間、ガチャと施錠する音。

……。完全に不審者扱いだがな、わし(笑)手に持ったままの、クリクリの目の象がこちらに「そりゃしかたないわな」とニヤニヤ話しかけてくる。いちおう不審者には注意を払ってるんだな、日本も。そりゃそうか。いや、わしゃ不審者ちゃうがな。親切心なのに。あの場合の正解はどうなの?どうすればよかったの?5歳くらいの女の子が泣きながら、横切ると同時のタイミングで手渡してきても「無視して歩き去る」が正解なのでしょうか。ねぇ、ねぇ、マジ、教えて。正解はどれ?

でも、だったら、平和大国日本でも、親の目から離れたところで児童だけにさせなきゃいいのに、と思った僕はやはりニューヨークに毒されているのでしょうか。どうするんだよ、このジョウロ。

すると、逆サイドの家から、さっきのゲンちゃんが勝手口からひとり出てきました。ほい、これ、とジョウロを渡します。さっきの子のだよ、というと、ちがうよサエはいもうとじゃないよ、ともだちだよ、サエはたかしくんのいもうとなの、と近隣関係図を話し込もうとしたので、不審者との2ショットは避けた方がいいと思い、じゃあな、サエをせめるなよ、とだけ言ってそそくさと立ち去りました。いや、わしゃ不審者ちゃうんだけれども。

日本のこの、児童だけで行動させることは、習慣や文化で説明がつくことなのでしょうか。一見、親が付きっきりのアメリカより「自立」させる為の教育、習慣にも見えます。

にもかかわらず、世間一般では、アメリカの教育の方が「自立」を考慮していると言われています。でも前述したように、アメリカでは基本、児童だけにするのは違法、もしくは注意勧告されます。ただ、だからこそ、逆説的ではあるけれど、アメリカの方が子供の“自立”を重視しているのではないかと思うのです。禅問答のようになってきたけど。

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