慢性的な財政赤字の日本では、1989年4月に3%の消費税を導入し、結局法人税収や所得税収の減った分を、消費税率を5%、8%、10%と上げることで直近の消費税収は21・9兆円まで増やしたものの、消費税率アップのたびに消費を鈍らせ、景気を押し下げました。
実際、一般会計の税収全体は、消費税導入翌年の1990年度に過去最高の60兆円を記録してからは50兆円台の伸び悩みとなり、2018年度での60兆円超えに戻すまで、長く低迷してきたのです。これだけを見ても、消費税増税分の8割が所得税と法人税の減税分と見合うことがわかります。結局、消費税で所得税と法人税の減税分を補っただけにすぎない財政構造だったのです。
この結果、国民は負担の増加で貧乏になる一方でした。反対に資本金10億円以上の大企業は、2011年以降連続で内部留保額を増やし、その額は2021年3月には484兆円にも達しています。
内部留保とは、企業の純利益から税金や配当、役員賞与などを引いた残りで、利益剰余金や利益準備金と呼ばれるもので、いわば「企業の儲けの蓄積」です。アベノミクスの円安誘導もあって輸出大企業ほど利益を積み上げてきたのです──
(メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年8月15日号より一部抜粋)
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