法人税は30年で「17%も減税」の不公平。その穴埋めに引き上げられる消費税の現実

 

慢性的な財政赤字の日本では、1989年4月に3%の消費税を導入し、結局法人税収や所得税収の減った分を、消費税率を5%、8%、10%と上げることで直近の消費税収は21・9兆円まで増やしたものの、消費税率アップのたびに消費を鈍らせ、景気を押し下げました。

実際、一般会計の税収全体は、消費税導入翌年の1990年度に過去最高の60兆円を記録してからは50兆円台の伸び悩みとなり、2018年度での60兆円超えに戻すまで、長く低迷してきたのです。これだけを見ても、消費税増税分の8割が所得税と法人税の減税分と見合うことがわかります。結局、消費税で所得税と法人税の減税分を補っただけにすぎない財政構造だったのです。

この結果、国民は負担の増加で貧乏になる一方でした。反対に資本金10億円以上の大企業は、2011年以降連続で内部留保額を増やし、その額は2021年3月には484兆円にも達しています。

内部留保とは、企業の純利益から税金や配当、役員賞与などを引いた残りで、利益剰余金や利益準備金と呼ばれるもので、いわば「企業の儲けの蓄積」です。アベノミクスの円安誘導もあって輸出大企業ほど利益を積み上げてきたのです──
(メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年8月15日号より一部抜粋)

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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