現代版にリメイクされた『うる星やつら』の舞台は、なぜ「昭和」のままなのか?

Black phone / Telephone of the Showa era Japan
 

ところで、伝統的なものや古典を目の敵にして排斥する「キャンセルカルチャー」が米国では流行しているようです。幸い、ラムちゃんが身に付けているトラ皮のビキニが「女性差別」だと言うような声はまだ聞こえてきませんが、遅かれ早かれ米国の狂信的なフェミニストに影響された文化的野蛮人(ただ偏狭で無教養なというだけの意味で、別に差別する意図はありません)が騒ぎ出すかもしれません。いつの時代でも、ギリシャ彫刻の生殖器を去勢して廻るような宗教的狂信者はいるものです。

そう言えば、日本の漫画やアニメを「『小児性愛』を助長するものだ」として糾弾していた米国CNNで、有名プロデューサーが何と「未成年者への性的虐待」で逮捕されましたね。どうやら、この種の言い掛かりをつける人は、自身が深刻な精神的問題を抱えている場合が少なくないようです。

少々脱線してしまいました。話を戻しましょう。要するに、「ラムちゃん」が既に「古典」の仲間入りをしたということは、日本の戦後ポップカルチャーは、既に豊かな量の「古典」群を擁する時代になったということです。

しかし、これを、どのように楽しむことができるかは、しつこいようですが、鑑賞する側の教養と精神的自由度にかかっているのです。

そして、能や歌舞伎、浄瑠璃などを例に挙げるまでもなく、古典を維持し現代に蘇らせる努力は、並大抵のものではありません。改めて、令和版『うる星やつら』の制作者、スタッフ、キャストの皆様のご健闘とご尽力に敬意を表する次第です。

(メルマガ『富田隆のお気楽心理学』より一部抜粋)

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