2.一人で生きても不便ではない時代になり、離婚後の資金の足しに年金分割
経済が発展し、日本には便利な家具や機械が増えていったので、わざわざ夫婦二人で協力しないととてもじゃないけど生きていけないような不便な時代ではなくなりました。
昔は、男子であれば働いた後に家事をするとかあまりに面倒な事であり、結婚にも積極的だったと思います。
女子にしても、雇用面では非常に不利な事が多かったですし、男性の雇用が終身雇用や年功序列で安定するならじゃあ私は結婚して家事をやろうという分担になっていました。
時が経ち、1人で生きていく事もお金の面以外であればそんなに不自由ではなくなりました。
それが全ての要因ではないにしろ、熟年離婚もそんなに珍しい事でもなくなってきたので、平成19年4月1日の改正からは、婚姻期間の夫の厚生年金記録を分けてもらう事が出来る離婚分割制度が始まりました。
元夫婦で話し合って分割をどうするか決めるので合意分割と呼ばれますが、平成19年4月1日よりも前の婚姻期間中の厚生年金記録も分けてもらう事が出来ます。
この離婚分割ができた事により、たとえ厚生年金記録が無い妻であったとしても、夫から厚生年金記録を分けてもらう事で将来は老齢基礎年金だけでなく、老齢厚生年金も受給する事が出来るようになります。
老齢基礎年金のみでは全然足りない人も、これで厚生年金が貰えるようになったわけですね。
ただし、夫からいくらでも分けてもらえるというのではなく、あくまで厚生年金記録の最大半分までです。
例えば夫が100万円の年金記録があり、妻は20万円の記録であれば両者合わせて120万円となり、それを両者で公平に半分の60万円ずつ受給するという形になります。
もっと厳密に言うと、厚生年金の計算には標準報酬月額とか標準賞与額というものを使いますよね。
例えば婚姻期間10年間のうち、夫が稼いだ給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)の合計が、月額40万円×120ヶ月+賞与80万円×20回支給=6,400万円稼いでいますよね。
余談ですがココから平均標準報酬額6,400万円÷120ヶ月=533,333円
そうすると年金額は533,333円×5.481÷1,000×120ヶ月=350,783円の老齢厚生年金になります。そういう手順を取っています。
では、その婚姻期間の10年中に妻が年金記録を分割しろ!という事になると、この標準報酬額6,400万円の半分である3,200万円を分割してもらう事になります。
そうすると、夫婦がお互い3,200万円の標準報酬額をもって、将来の老齢厚生年金を計算します。
また、この10年間のうちに妻自身に標準報酬額が2,000万円あったとするならば、夫の記録6,400万円+妻の記録2,000万円=8,400万円となって、これがお互い半分ずつの4,200万円になるように分割します。
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