なぜ、具合が悪い人がいても順番通りに呼ぶ病院で誰も文句を言わないのか?

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教室のルールに限らず、社会の中にある価値観も「それが平等だ」と思われているけど、本当は平等かどうかなんて誰にも判断できないものがたくさんある。

村長も年に数回、高熱を出してかかりつけのお医者さんに診てもらうんだけど、病院嫌いの村長が病院に行くときは、死ぬほど苦しんでいる時しかないんですね。

ところが、病院というのはいつ行っても混んでる。待合室に座れないほど順番待ちをしている人がたくさんいるから、立っているのも辛い状況なのに座れないで待つということもよくある。

で、待っている人を見ると、結構大丈夫そうな(失礼な話)人が多い。今じゃなくても大丈夫な薬だけもらいにきたような人がね(完全に自分勝手フィルターで相手のことを見ていますが)。でも受付順に診療されることが、覆されたことがありません。

僕も含めて、誰もそのやり方に文句を言う人はいません。「受付した順番に診る」と言う価値観に「納得」しているからです。

人によっては、受付をして、近くのスーパーで買い物をして、帰ってきたら自分の順番で、という猛者もいますが誰も文句を言わない。「それもありだ」と納得しているんですね。

我が家の愛犬が急に具合が悪くなったときのこと。日曜日だったこともあり、救急動物病院に連れて行ったんです。事前に電話を入れておいたこともあり、着いたときにはすぐに処置室に運び込まれました。待合室には、順番を待つ人がたくさんいたのですが、優先してくれた。

僕は、「事前に電話しておいてよかった」と思ったんですね。その受付順に受診してくれたんだと思っていたから。ところが、病院の待合室に、「当院ではトリアージを行なっております」と掲げられていたんです。

トリアージとは、緊急時など診療を必要とする患者がたくさんいる場合に、緊急度の高い患者から順に診療を行うべく優先順位を決めること。

つまり受付順じゃなかったんですね。だけど、待っている人は誰一人として文句を言う人がいない。「それが平等だ」と思っているわけではなく「その価値観に納得している」からでしょう。

教室においても、職場においても、順番よりも緊急性を優先しなければならないことが多々あります。いやむしろ、「どうしても、この子には今この助けが必要だ」と思うことばかりです。

そう思ったら順番を気にせず、今すぐ一番いい処置をしてあげるべきです。

それがたとえ、それまでに誰にもしてあげたことがないことだとしても、「贔屓だ」と言われるのを恐れて機会を逃すことの方が問題です。

指導者のそういう行為が納得してもらえないとしたら、最初から「トリアージを行なっています」と宣言していないだけかもしれません。

何を優先しているのかという指導者の価値観が事前に相手に伝わっていたら、その価値観には納得してもらえることがほとんどです。

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