なぜ、具合が悪い人がいても順番通りに呼ぶ病院で誰も文句を言わないのか?

Diversity And Inclusion. Business Employment Leadership. People Silhouettes
 

指導者は自分の中の「平等」の判断基準が、世間のものとズレていないという前提で、すべての子供や部下に平等に接していると思っています。でもそれは、「自分の価値観の中での平等」であって、別の人の価値観では「贔屓」になるということなのです。

「僕は自分の価値観において平等に接します」というのと「僕は贔屓します」というのは同じことを言っているんですね。

ところが「贔屓」という言葉に対する嫌悪感から「贔屓をしない」と決めたがる先生が多い。でもそうすると自分の価値観において平等に接することもできなくなっていく。やっていることは同じことですから。

がんじがらめになって、何をしていいかわからなくなってしまう人も出てきてしまう。

だから、教室や職場においても事前に生徒や保護者、部下に対して「教育のトリアージ宣言」をしておくことが大事。

大切なのは平等に接することでも、贔屓をしないことでもない。自分の教育理念を相手に伝えて、納得してもらい、それに忠実に相手を助けること。

子どもたちには、頑張って他の人が手にできない何かを得た人を見たときに「贔屓」という言葉を盾に、頑張っている人の足を引っ張るような大人にはなってほしくないんですよね。

「贔屓」という言葉に嫌悪感を抱かずに、社会に出てもらいたい。そうすれば、子供の頃からずっと、「どうしたらご贔屓さんを増やせるか」「どうしたら贔屓される人になれるか」ということを考えたまま大人になれますから。それを考え、行動するということは、社会に出る前の大切な訓練になる。

というわけで、今週の一言。

「平等じゃなくてもいい。気になる子にはやってあげたいことを全力でやればいい」

「私はそんな人です」

と一言事前に説明して、「納得」してもらっていれば「贔屓だ!」なんて騒ぎ立てることはありません。子どもたちだって『トリアージ』は理解できますから。

村民の皆様にはもう一言。

いつも、ご贔屓にしていただき、ありがとうございます。

また来週。

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1970年生まれ。2005年「賢者の書」で作家デビュー。「君と会えたから」「手紙屋」「また必ず会おうと誰もが言った」「運転者」など数々の作品が時代を超えて愛されるロングセラーとなり、国内累計95万部を超える。その影響力は国内だけにとどまらず、韓国、中国、台湾、ベトナム、タイ、ロシアなど世界各国で翻訳出版されている。人の心や世の中を独自の視点で観察し、「喜多川ワールド」と呼ばれる独特の言葉で表現するその文章は、読む人の心を暖かくし、価値観や人生を大きく変えると小学生から80代まで幅広い層に支持されている。

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