教育費を削って大軍拡?狂った岸田政権が加速させる「公立学校ブラック化」

 

現場が見えない文科省も盛大に大外し。「教師のバトン」大炎上で見直し迫られた「給特法」

2021年3月、文部科学省は、教師自身に「教師の魅力」を次世代に発信してもらい、教師のなり手不足の解消を目指そうと、「教師のバトン」というTwitterやnoteなどSNS上におけるプロジェクトをはじめました。

ところが、教師自身による「仕事の魅力」の発信どころか、現場の教師からの過酷な労働現場の実態を訴える投稿が相次いで、たちまちSNSは大炎上してしまいます。

そして、その結果、文科省からは「長時間労働の改善、部活動の負担・顧問制度の廃止、給特法の改正、教職員定数の改善、免許更新制度の廃止」といった問題点がまとめられ、改善に取り組むべく趣旨が返答されて、ようやくSNSの大炎上は小康状態に落ち着きます。

ところで、こうした改善が求められる課題のうちの「給特法」というのはいったい何なのでしょうか。

これは、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」の略称です。

教育現場をブラック職場にした「給特法」という時代錯誤の悪法

敗戦後は、教員も一般労働者と同様に労働基準法が適用されていたものでした。

しかし、教員の仕事は自発的な職務も多く、勤務時間の管理が難しいので、さまざまな問題が生じ、時間外手当を求める訴訟が連発される事態にまでなったのです。

そのため、これを解決すべく生まれたのが、52年前の1971年に制定された「給特法」でした。

教員の「職務の特殊性」に基づき、当時月間の時間外労働が8時間程度とされていたので、これを残業時間に相当させようと、4%の月額教職調整額を「給特法」で支給することにしたのでした。

これにより、時間外勤務手当や休日勤務手当は支給しないと定めたのがこの法律だったのです。

そのため、公立学校では、労働基準法の残業代支払い義務がなくなりました。結果的に、これが労働管理を野放しにします。

特別に残業代が認められるのは「校外実習など」「修学旅行などの学校行事」「職員会議」「非常災害時に関する業務」の4項目だけとなり、これら以外は、建前上教員は残業を命じられることがなくなったのです。

つまり、教員は限りなく、自主的な勤務による「サービス残業」が強いられることになったわけです。

しかし、現在の公立学校での教員の仕事は、この「給特法」が出来た時代の1971年と比べ、圧倒的に多くなっています。

92時間34分。過労死ラインを遥かに超える残業時間

公立学校の教員の仕事は50年前と比べ激増している!

なぜ、教員の仕事が増えたのでしょうか。

本来の業務である授業の他に、複数の部活顧問の対応、保護者との連携対応、いじめや不登校児童への対応、貧困・虐待を抱える家庭の児童への対応、外国人児童への対応、インクルーシブ教育(発達障害などの有無にかかわらず、全ての子供を受け入れる教育)への対応、道徳教育の拡充、パソコンを使った一人一台端末環境の推進やデータ活用への対応、進路指導、キャリア教育への対応……などなど、教員の仕事は今日激増しているのです。

土曜・日曜・祝日などの休日出勤まで余儀なくされるので、ふつうの休暇さえ満足にとれていないのが現実です。

OECDの調査でも、「日本の公立学校教員の激務は世界一」と認定されるにいたっています。

その結果、全日本教職員組合の発表によれば、小中高の教員の1カ月当たりの平均残業時間が92時間34分にのぼります。

過労死ラインとされる80時間をゆうに超えているのです(過労死ラインの前提は一日4時間以上の残業で月に20日勤務の場合)。

かつて、教員の仕事は「やりがいのある魅力的な仕事」でした。

しかし、こうした厳しい現実を知れば、公立学校の教員を目指す人は減少していきます。

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