さて、慢性膵炎は人間でも特効薬がある訳ではなく、点滴などによる血流の確保と痛みと吐き気のコントロール、そして栄養療法が基本となります。
痛みが重度の場合は外科的処置を施すこともありますが、痛みを改善することはあっても根治するというわけではありません。近い将来に治療法ができるかどうかの予測は正直難しいですが、いくつかのバイオテック企業が新薬を開発しており、臨床試験に入っているものもあります。それらの中のどれかが承認に至るまでにはまだ時間がかかるし、ましてや動物に使われるようになるまでには相当の時間がかかります。
一方、膵炎そのものではなくて膵臓がんに対する創薬開発も行われており、その中のどれかが膵炎にも効果を出すという二次的な価値があれば、そこでも慢性膵炎への新薬開発の流れも変わる可能性はあります。慢性膵炎は治療が難しいですが、猫の軽度の膵炎であれば予後は比較的良いことも知られています。
いずれにしても、現段階では猫ちゃんの吐き気や食欲低下を見たらすぐに獣医に診断してもらい、早期に治療することが大切です。膵炎を放置すると脂肪肝などの別の問題が起きることがあるので、いかに早く対応するかが大切です。
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