「吐き気」や「食欲低下」が見えたらすぐ診断。猫の病気対処で大事なこと

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ペットも長生きになってきて、病気の心配はつきませんし、最終的には治療法が確立していない病気と対峙するケースが増えてきます。猫の「高分子型消化管型リンパ腫」と「慢性膵炎」に関する質問に答えるのは、メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』著者で米在住医学博士のしんコロさん。病気の解明がどこまで進んでいるかや、薬の開発の状況など知りうることを答えたうえで、猫の体調の変化に気づいたら、なるべく早く治療を始めることが大切と伝えています。

猫の病気。高分子型消化管型リンパ腫が悪性度の高いものに変化する時はどういう時?慢性膵炎の治療法は将来確立されますか?

Question

shitumon

今日は2つ質問があるのですが、しんコロさんの見解で答えられる範囲で結構ですのでお願いいたします。

1)猫の高分子型消化管型リンパ腫が、悪性度の高いものに変化する時はどういう時ですか?

抗がん剤を投与して寛解し、そのあと再燃した時が悪性度の高いものに変化することが多いのか?それともクロラムブシルを使わずステロイドのみの消極的治療法を選ぶと、高悪性度ガン化するのが早いのか?はたまた全く治療をしない場合なのか?それとも治療の内容に関わらず、100頭いたら100パターンあるくらい個体差が大きいものなのでしょうか。

2)猫の慢性膵炎の治療法について現在、猫の慢性膵炎は不治の病ですので、症状が出たときに対症療法をするしか出来る事がありませんが、近い将来に治療法が確立される可能性は、有るとお考えでしょうか?

慢性腎不全では現在いい薬が開発され発売されるようになりました。是非しんコロさんのお考えをお聞かせ下さい。

しんコロさんからの回答

高分化型消化器型リンパ腫はローグレードといい、悪性度の高いものはハイグレードとも呼ばれます。ローグレードがハイグレードに変化(トランスフォーム)することは稀にありますが、それほど頻度は高くありません。

また、抗がん剤治療の有無や、抗がん剤のタイミングによってトランスフォームのリスクが上がるかどうかについても、いくつか研究がありますがコンセンサスには至っていません。

むしろ、ローグレードのリンパ腫が見つかったらその時点で抗がん剤治療を始めた方が、ローグレードのリンパ腫自体による症状の悪化を防ぎやすいと言えます。言い換えれば、ハイグレードにトランスフォームするかどうかの稀なケースを心配するよりも、目前のローグレードのリンパ腫をやっつけるのが最重要となります。

また、質問者さんがおっしゃるとおり、100頭いたら100通りというのは正しいと思います。がんがトランスフォームするかどうかは遺伝や環境の影響で左右されると思いますし、ゲノム解析や免疫細胞やがん細胞のRNAシグネチャー(どんなRNA発現の分布があるか)などの研究を行えば、どういった遺伝子の変異やRNAシグネチャーだとがんがトランスフォームしやすか、などは幾分明らかにはなると思います。

でも、猫ではそこまで研究されていないと思いますし、獣医学の範疇を超えているのでそこまでの研究結果が現れるのはもう少し先なのではと思います。

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