仕事一筋だった人が定年を迎えると何をしていいかわからず、存在意義を感じられなくなってしまうという話はよく聞きますよね。メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、定年後に何をすべきか悩んでいるならば武士になろう、と話しています。
定年後は武士になる
1.定年後は武士として生きよう
会社人間が定年になると、社会とのつながりが失われ、仕事がなくなることで、自分の存在意義が感じられなくなることもあります。朝からパジャマのままダラダラと過ごし、最悪の場合は鬱に陥ってしまいます。
こういう人は、実は経済的にはある程度の余裕がある人です。経済的に余裕のない人からすれば羨ましい身分ですが、本人にとっては深刻です。お金に困っていないから、無理に仕事をする必要はありません。自由だからこそ、何をやっていいのか分からないのです。
定年後に悩んでしまう人は、自律的に生きてこなかったのかもしれません。自分で考え、自分で行動していれば、迷いはありません。常にやるべきことを考える癖がついているからです。
進学を決める時には、親や教師の指示に従い、会社を決める時には周囲に流され、入社後は上司の命令に従う。こういう人は自分で自分の人生を考えたことがありません。
結婚すれば、今度は奥さんの指示に従うことで日常生活は安定します。スーツや靴なども奥さんに一任している人も少なくありません。自分で使う商品を自分で買ったことがない人もいます。
そんな状態で定年を迎えれば、何をしていいのか分からなくなるのも当然です。
そこで、一つの目標となりそうなイメージを提供してみたいと思います。それが「武士になる」ということです。
武士の始まりは軍人ですが、平和な江戸時代においては、武士の存在意義について悩んでいたようです。そこから、武士道が生れました。武士道とは、「平和な時代になぜ武術を研鑽するのか」「平和な時代における武士の存在意義とは何か」等の問題に対する一つの解決策を提示したものだと思います。
武士道では「文武両道」が提唱されています。これは「心身ともに健康を保つ」ということであり、また、「心身を鍛えることで社会秩序を守る役割を果たしていこう」という意志でもあります。
武士はあらゆる場面、あらゆる時間において、常に敵からの攻撃に備えています。常に気を体内に充実させながら、身体はリラックスして直ぐに動けるようにしています。
起きている時間はもちろん、睡眠中でも構えは解きません。右側臥位(うそくがい)で刀を抱えて眠ったと言われています。右側臥位は釈迦の涅槃像にみられるように、古代インドの睡眠姿勢で、それが禅の教えにつながったようです。科学的にも、胃の形が身体の右側に向かってカーブしているため、食べ物の移動がスムーズで消化を助け、自律神経に対する負担も軽減され、睡眠の質が高まるメリットもあります。
このように、現代人であっても、武士の姿勢や歩き方、礼法を学ぶメリット数多くあります。健康に良いだけでなく、若々しい動作を周囲に印象づける効果もあります。
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