ウクライナ戦争で露呈。戦争が「極めて下手」なロシアという軍事大国

Hostomil,,Ukraine,-,Apr.,02,,2022:,Broken,Tanks,,Combat,Vehicles
 

一進一退の激戦が続いているウクライナ東部戦線。しかしながらもはや地上戦闘においては、ロシア軍に勝ち目がないとする見方もあるようです。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』ではジャーナリストの内田誠さんが、そう判断せざるを得ない根拠を解説。さらにウクライナ戦争を通じて抱いた、ロシアという国に対する率直な思いを綴っています。

ネットにあがる無惨な映像。ロシア軍に「地上戦闘」で勝ち目はない

今、ウクライナの戦争の状況ですけれども、ついこの間までバフムートというところ…。これ、順番に説明しますと、プーチン政権は、プーチンさんが大統領選を控えて政治的な得点になるような戦果が欲しかった、のではないかと想像されますが、3月末までに東部ドネツク2州、これを完全に制圧をしろと、完全にそこからウクライナ軍を追い出せということですね。そういう目標を提示して、これは1月でしたけれども、ゲラシモフさんという参謀総長、軍のトップですね、この人をウクライナ侵攻軍の総司令官に任じた。それまでの人は色々ミスを犯したり、あるいは犯さなかったり色々なんですが、そういう人たちは排除されていきました。

で、ゲラシモフさんが総司令官となり、その目標のためにロシア軍は全力を尽くすことになった。何をやったかというと、東部の各戦線において少しでも前に出ようとして、人海戦術なるものを採用した。これ、本当に悲惨なやり方で。なぜそうなったかについては、もしかしたら合理的な説明が可能なのかもしれないのですが、ちょっと信じられないような…。

ロシアの軍隊は内部が色々分かれていて、正規軍があり、動員兵がおり、ワグナーその他の私兵集団がいる。ワグナーに関しては持ち場が多分あって、一番厳しいところを担当させられているのだと思いますが、東部戦線のすべてのところで攻撃を仕掛ける。その仕掛けるやり方も、とにかくその場で使える道具を持って突撃する。中にはシャベルを持って突撃させられた人もいたという話まである。真偽のほどは確かではないですが、しかしハッキリしているのは、その間にロシア兵の大変な数の人が亡くなったということです。

トータルすると、これらに加えてこれまでにロシア側で亡くなったり怪我したりして「損耗」した人数は2万2,000人と、イギリスの国防相が推測した数字を出している。とんでもない数の犠牲者を出し、なおかつほとんど前に進めなかった。

で、3月31日までという期限が過ぎ、結局ダメだった。もう陥落間近という言われ方もバフムートについてはされていたし、もう少しでウクライナ軍守備隊は包囲されてしまうのではないかと。それくらいしつこく攻撃をしていたし、ワグナーの人たちは実戦経験のある人たちですから、その意味ではウクライナ軍とまともに戦える質を持った軍隊なわけですね。そういう人たちに包囲されて、これはもうバフムートからウクライナ軍は撤退するしかないのではないかという話になっていた。

ところがゼレンスキーさんは撤退ではなく、断固、死守すると言った。大丈夫なのか、そんなこと言ってしまって。戦略的な撤退は必ずしも負けたことにならないから、アリなのではないかという人もいた。でもとにかく守るのだと言って、今もまだ激しい戦争をしながら守っている。ワグナーの方も相当な損害を出しているのが現状だと思います。こういう攻撃を受けてウクライナ軍は一つ一つ全部防御していたわけですね。

これ、ある意味ではウクライナ軍の思惑通りで、ロシア軍はどんどん戦死し兵器もなくなり、士気も落ちて…というふうになっていったと言われています。結局、兵士不足、弾薬不足、兵器不足となって、また40万人の動員をかけようとしている。ただし今度は志願兵…今更志願する人とはいないのだと思いますが。何かで釣ってね。志願させるのかもしれませんが、それもうまく行くとは言えないのではないかと思います。

この記事の著者・内田誠さんのメルマガ

購読はこちら

print
いま読まれてます

  • ウクライナ戦争で露呈。戦争が「極めて下手」なロシアという軍事大国
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け