小林よしのり氏が疑念を抱く「こども家庭庁」の裏。隠す気もなくなってきた統一協会の恐ろしさ

 

統一教会が未だ改憲の企みを全く諦めていない決定的証拠

そして社説は保育園に関して、こう書いている。

保育園に長く預けられ、家庭の温かさを十分知らないまま成長したのでは、結婚・出産願望は生まれない。子育てと仕事を両立させるための保育サービス拡充から一歩踏み出し、保育園に預ける時間を短くし、親が自宅での子育てに十分時間を取れるような施策に取り組むことも必要だろう。

驚くほどの保育園に対する悪意と偏見だが、統一協会はずっとこの理屈で保育園の増設に反対し、子供は家庭で育てよと主張し続けてきたのだ。

その上で社説は続けて、こう書いている。

重要課題に虐待対策もある。こちらも年々悪化を辿(たど)り、令和3年度の児童相談所による相談対応件数は20万件を超えている。虐待は核家族化、貧困、社会からの孤立、離婚など複数の要因が重なって起きるといわれるが、対応の基本は家庭における子育て支援であり、そこに携わる人材育成が必須だ。それに加え長期的な観点から、伝統的な家庭の良さを見直して、望ましい家族の在り方を提言することも躊躇(ちゅうちょ)すべきでない。

出た!「伝統的家庭観」!

何が「伝統的な家庭の良さ」で何が「望ましい家族の在り方」なんだかさっぱりわからないが、とにかく統一協会が考える「伝統的家庭観」さえあれば虐待だろうが何だろうが解決するんだから、こども家庭庁はそれを提言せよと言い出すのである。

あまりにも露骨なのだが、これでもまだ終わりではない。社説はこれに続けて、統一協会の本音をさらにぶちまけ切って締めくくっているのだ。

世界人権宣言には「家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会及び国の保護を受ける権利を有する」とある。こども家庭庁の設置目標の達成には、憲法に「家族条項」を入れることも必要になってくるだろう。

なんと、統一協会は日本の憲法を変えてしまおうという企みを、未だに全く諦めていないのである!!

むしろこども家庭庁を利用して、日本国憲法に「国民は家族を大切にすること」という、国民を縛る条項を入れようとさえ考えているのである!

だからわしは「こども家庭庁」には懸念を示さざるを得ないのだ。

当初の理念が統一協会に浸食され、乗っ取られて、気がついたら「こどもまんなか」どころではなく「統一協会まんなか」になっているかもしれないのだ。

さて、なぜ安倍晋三がビデオメッセージで唐突に「世界人権宣言」を持ち出したのかという件だが、上の世界日報社説を見ればもうわかるだろう。

統一協会自身が、何かといえば世界人権宣言を持ち出して、その理念と統一協会の「伝統的家庭観」が同じものであるかのように見せかける詭弁を常套手段としていたのだ。それで安倍晋三は、それと全く同じことを言ったにすぎないのだ。

それほどまでに、統一協会と安倍晋三の言うことは一体化していた。

もっとも、統一協会の側は安倍と「一体」だなんてちっとも思っていなかったに違いない。おそらく、安倍なんか「便利な手先」程度にしか思っていなかったはずである。

大胆なのかバカなのか、「世界日報」には統一協会の本音や企みがそのまま書かれていたりするようだ。

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