教団の「不都合な真実」が公の場で次々と明らかに
裁判では、有田さんからの意見陳述もありました。一部、抜粋します。
過去に有田さんのもとには「警察庁と警視庁の幹部から統一教会についてのレクチャーの依頼があった」と明かして「霊感商法の実態、1987年5月3日に起きた朝日新聞阪神支局襲撃事件(赤報隊を名乗る人物の犯行)への疑惑を話した」ということです。
朝日新聞阪神支局襲撃事件は、赤報隊を名乗った人物が、当時29歳の朝日新聞の小尻記者を銃撃して死亡させるという、言論封殺を狙った許されざるものでした。
当時は、朝日新聞を中心に旧統一教会の信者らが行う、霊感商法批判を展開していた時期でもあり、教団も捜査の対象になっていたとのことでした。
「警察当局は右翼、新右翼とともに『統一教会重点対象一覧表』という捜査資料『勝共(連合)の非公然軍事舞台』『統一協会の軍事舞台』の調査も進めていました」(有田氏)
その疑惑を深める一因に、教団の動きがありました。
「統一教会系の『幸世物産』は1968年2月に韓国の教団系の会社から2,500丁の空気散弾銃『鋭和3B』を輸入販売しました。警視庁は警告を出しましたが、さらに1万5,000丁の輸入申請を行ったため、1971年3月26日の衆議院地方行政委員会でも問題になりました」といいます。
この時の後藤田正晴警察庁長官(当時)は「この空気散弾銃が果たして適正なものかという点に私どもは疑問を抱いた」「それを監視して、この2,500丁以外は入れない」と答弁したということです。
52年前の答弁をみてもわかるように、すでに教団の行動は、社会的に問題視されて、監視される存在だったわけです。
さらに1973年4月5日の衆議院内閣委員会では、「日本に輸入した『鋭和3B』という単発空気銃が10メートル離れたところから、厚さ2センチの板を貫通する威力を持ち、殺傷能力のあることが問題になった」としています。
当時、統一協会信者らにより、全国35か所で銃砲店が経営されていたそうで、警視庁刑事局保安部長は「全国で8か所この銃のための射撃場がある」と答弁し「この問題については、中曽根康弘国務大臣も『警察庁とよく連絡を緊密にとりまして善処いたします』と答弁しました。私が統一教会を単なる宗教団だとは思ってこなかった理由です」と有田氏は話します。
時の指導者の意向しだいで「銃を持つことを正当化」する恐れも
この出来事が過去のことはいえ、大量の銃を扱っていた教団の行動に改めて恐ろしさを覚えます。
なぜなら、教義を信じた者たちは、時の指導者の意向しだいで、神の国実現のために、今後も大量の銃を持つことを正当化させる恐れがあるからです――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2023年5月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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image by: Sun Myung Moon, CC BY-SA 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で