国家ライフサイクルから見る中国
サラリーマンさまは、メールの中で、
北野様は2020年ころから中国は下り坂になると以前からおっしゃっていて、その通りになりつつあり、その見立ては敬服します。
と書かれています。昔からの読者さんは、ご存知でしょう。私は、2005年に出版した一冊目の本『ボロボロになった覇権国家アメリカ』から、一貫して「中国の高成長は2020年まで」と書いてきました。これは、何でしょうか?「国家ライフサイクル」でみたのです。詳しく書くと長くなるので、超簡単に。
ある国のある体制は、
・前の体制からの移行期(=混乱期)→成長期(前期と後期がある)→成熟期→衰退期
と進んでいきます。移行期(=混乱期)は、二つの条件が整うと成長期に入ります。その条件とは、
・政治が安定すること
・リーダーがまともな経済政策を行うこと
戦後の日本は、1950年に始まった朝鮮戦争の特需で復活を開始しました。それから、1990年まで40年間成長期だったのです。
中国は、どうでしょうか?1949年に中華人民共和国が成立。一応、政治は安定しました。しかし、毛沢東は、究極の経済音痴だった。「大躍進」とか「文化大革命」とか、わけのわからない政策で、民を大いに苦しめました。毛沢東が死んだのは1976年。その後トウ小平が実権を握り、改革を宣言したのが1978年12月。中国が成長期に入ったのは、ざっくり1980年からでしょう。
以後中国は、完全に「日本から30年遅れ」で進んできました。検証してみましょう。
・日本1960年代、「安かろう悪かろう」で急成長
・中国1990年代、「安かろう悪かろう」で急成長
・日本1970年代、「世界の工場」になる
・中国2000年代、「世界の工場」になる。
・日本1980年代、「ジャパンアズナンバー1!」「日本がアメリカを超える」と誰もが思い始める
・中国2010年代、ほとんどの人が「中国がアメリカを超える」と思い始める
問題は、ここからです。
・日本1990年代、「暗黒時代」に突入
そうなると、中国は?
・中国2020年代、「暗黒時代」に突入
と予測することができたのです。
繰り返しますが、私が「中国の高成長は2020年まで」と書いたのは、15年前のことです。予想通りにきたのですが、これからどうなるのでしょうか?