自国経済への恩恵はごくわずか。それでも英国がTPPへの加入を決めた訳

 

同時にイギリスは「コモンウェルス」ということで、過去に多くの国がイギリスの影響下にあり、その国々がイギリス王室を慕っているということになっています。

このイギリス王室に関しても、エリザベス女王崩御によって力が衰えたとはいえ、まだまだ大変な影響力を持っているということになります。

その意味でいうとTPPの加盟国12か国中でカナダ・シンガポール・オーストラリア・ニュージーランド・マレーシア・ブルネイと6か国がコモンウェルスの影響下にある国であるということになるのです。

EUを離脱したイギリスにとって、これらのコモンウェルスの国々に様々な意味で近づいてゆくのは当たり前のことであると考えられます。

いや、ジョンソン首相は、当時(まだロンドン市長でしたが)、「開かれた英国(グローバル・ブリテン)」を国家戦略に掲げ、EUの一員としては実現できなかった国や地域とも自由貿易協定(FTA)を締結することを目指すとしていたのです。

実際にEU離脱後の英国は、日英包括的経済連携協定(日英CEPA)、英・シンガポールデジタル協定、英・ノルウェー・アイスランド・リヒテンシュタイン自由貿易協定を含め、現在までに70の発効済の新たな貿易協定を結んでいます。

また、オーストラリア、ニュージーランド、ウクライナ(デジタル協定)、東南アフリカとの貿易協定の署名を完了させていますし、米国、インド、中東などとの貿易協定の交渉を進めているのです。

同時に今年のG7でも見えてきたように、グローバルサウスといわれる経済発展著しい国々があり、その国々と戦略的に提携できることがイギリスの将来につながるということになっているのではないかと考えます。

或る意味で、スナク首相のルーツがインドであるということも関係があるかもしれません。

もちろんルーツがインドであるからといって、インドに加担しているとは言い切れませんが、しかし、或る意味で「アジアに拠点を置いた視点」というものがあるのではないかと思います。

これからの成長市場も、また、今後のイギリス経済が生きる道も、インド太平洋が握っているというような感じなのかもしれません。

或る意味で、「21世紀の大航海時代」というようにイギリスはとらえているのかもしれないですね。

何故今加盟を?

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