魚沼産コシヒカリ“生産量の30倍超”が流通の異常。ブランド米「産地偽装」のやりたい放題

 

あまりに多く販売されている「魚沼産コシヒカリ」の怪

なにしろ、ネット通販で売られている「コメ袋」という商品について眺めて見ただけでも、「魚沼産コシヒカリ」「新潟県産こしひかり」「〇〇県産コシヒカリ」「農家のおいしいコシヒカリ」……などといった銘柄別の特定キャッチコピーの標題が、あらかじめ印刷された「コメ袋」が大量に売られているのです。

袋の規格は、1キロ、2キロ、3キロ、5キロ、10キロなどと梱包量別に分かれており、これらが100袋、500袋といった単位でまとめて売り出されているのです。

こうした銘柄別の「コメ袋」に、テキトーに混ぜ合わせたコメを入れるだけで、特定の「銘柄米」が出来上がってしまいます。

あたかも「どんどんコメの産地偽装をおやりなさい」奨励されているかのような錯覚さえ覚えます。

これだけ大々的に特定銘柄別の「コメ袋」が売られている現状を見ると、日本全国のあちこちで「コメの産地偽装」が行われているのだなぁ……と想像するに難くないのです。

何しろ、一番人気の「魚沼産コシヒカリ」は、コメの産地偽装年に新潟県がDNA検査をしたところ、売られていた「魚沼産コシヒカリ」表記のコメの産地偽装%の商品に別品種のコメが混入していたことが判明しています。

人気の「魚沼産コシヒカリ」の表記でなくても、「新潟県産コシヒカリ」という表記の商品においても、100%の「新潟県産コシヒカリ」は販売商品の68%にすぎなかった──というのです。

「新潟県産コシヒカリ」の表記があっても、32%は別品種の混入が認められる商品だったわけです。

農水省傘下の食糧庁も、小売店や米穀卸商へのDNA検査などを実施していますが、毎回1割強の「産地偽装米」を摘発しています。「見た目」でわからないだけに、コメの産地偽装はやりたい放題であることがわかります。 

そもそも魚沼産コシヒカリは、新潟県内の南魚沼市・十日町市・魚沼市・小千谷市・津南町・長岡市(川口)・湯沢町の5市2町(作付面積順)で獲れたコメのことを指しています。

この地区で収穫されたコメが、ホンモノの「魚沼産」と呼ばれるものなのです。

そして、この地区で収穫されたコメは、1989年以降、日本穀物検定協会の米食味ランキングで、28年連続で「特A」に認定され、国内最高評価を得たコメとなっているのです。

ただし──です。

この「魚沼産」と呼ばれる地域でのコメの収穫量は、全国の水稲栽培のコメ生産量のたったの1%にすぎません。

それなのに、スーパーの店頭においても、「魚沼産コシヒカリ」と表記されたコメがあまりにも多く販売されているのです。

流通量を調べた識者によれば、「魚沼産コシヒカリ」と表記されたコメの流通量は、実際の生産量の30倍以上に及ぶ──という指摘もなされているのです。

実に不思議なことが、起こっているわけです。

もちろん、こうした産地偽装は取り締まりの対象です。

産地偽装の疑義が生じた際にルートを辿れる「米トレーサビリティ法」をはじめ、「食品表示法」「景品表示法」「不正競争防止法」などで、刑事上の罰則までが明記されており、過去においても、数多の業者が摘発されています。

それでも産地偽装がなくならないのは、「バレないはず」という確信によって、「偽装」に次々手を染める悪徳な業者が後を絶たないからです。

実際、業者の従業員による内部告発での通報や、行政のDNA検査などの抜き打ちの調査でも徹底しなければ、産地偽装は巧妙にやればやるほど容易にわからないことでしょう。

何より、生産者や流通業者の良心にかかっている部分が大きいからです。

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