日本死す。安倍元総理の「亡国的悪政」で皮肉にも解消してしまった待機児童問題

 

「保育所を作るな」厚労省が全国の自治体に発した通知

この「待機児童問題解消」の経緯には、恐ろしい政治的意図が隠されているのです。というのも、ざっくり言えば、政府は出生数の減少を見越して「わざと待機児童問題を解決させなかった」のです。

現在、日本は深刻な少子高齢化問題を抱えており、これはあらゆる手を使ってでも改善させなければならないはずです。待機児童問題は、その少子高齢化の要因の一つなのに、政治家たちはそれをわざと解決しなかったのです。つまり政治は、出生数の減少を食い止めるどころか後押しをしたのです。

これには、実は保育所の利権が絡んでいます。保育所というのは、その設置数が、自治体によって調整されています。児童不足で保育所が経営難に陥らないように、自治体の方が気を配っているのです。それは、厚生労働省からの指示によるものです。

信じがたいことに厚生労働省は、2000年代初頭に自治体に対し「需要以上に保育所をつくらないように」という通知を出しているのです。「児童が不足して保育所がつぶれるのはまずい」そして、そのためには「保育所が不足して待機児童が増えるのは構わない」ということなのです。

この通知は非公開でも何でもなく、一般の人にも知れるものです。その通知というのは、2000(平成12)年3月30日に厚生労働省から全国の自治体に発せられた「保育所の設置認可について」という通知です。この「保育所の設置認可について」の第1条「保育設置認可の指針」の冒頭には、次のような記述があります。

一 地域の状況の把握

 

都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、保育所入所待機児童数をはじめとして、人口数、就学前児童数、就業構造等に係る数量的、地域的な現状及び動向、並びに延長保育等多様な保育サービスに対する需要などに係る地域の現状及び方向の分析を行うとともに、将来の保育需要の推計を行うこと。

これをざっくり言うと、児童の数を把握し、保育所の需要を調べること、という意味です。つまりは、各保育所が児童数が足りなくなるような認可はしてはならないということです。これは、実はとんでもないことです。認可権のある自治体が、保育所の需給を調整しなくてはならない、つまりは、既存の保育所がある地域には、新規参入が非常にしにくい構造になっているのです。

またこの通知文の中には、「地域の現状及び方向の分析を行う」となっています。これは、「今の現状だけじゃなく、将来の需要も考慮しなさい」という意味です。つまり、これは暗に「将来、子供が減る恐れがある場合には、むやみに保育所をつくるな」と言っているわけです。今の日本では、ほとんどの地域で、このままいけば将来子供が減ります。だから、ほとんどの地域で、保育所の認可はなるべくするな、ということです。この通知こそが、待機児童問題を長い間、解決させなかった最大の要因だといえるのです。

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