慎重派を罵倒し必死に放出を正当化する人たちの謎
9.今回、海洋放出を強行しても、排出できるのは現在溜まっている全汚染水の1/3といわれていますが、残りの2/3はどうするのでしょうか?
10.「風評被害」という言葉がよく使われますが、実際のところ、原発事故後の風評被害の実態はどのようなものだったのでしょうか?聞くところによると、事故から10年後の調査では、風評被害の実態は無かったという報告もあります。風評対策よりも、汚染水の海洋放出や、汚染土の拡散による実害を調査、検証する方が重要なのではないでしょうか?
11.SNSなどで、有名人にしろ無名の人にしろ、専門家でも当事者でもないのに、処理水の海洋投棄について、驚くほど感情的になって、慎重派を罵倒しつつ必死に正当化しようとする人たちがたくさんいるのは何故なのでしょうか?
12.もちろん、これら数々の疑問の背景には、「原子力村」とも呼ばれる利権集団がいて、政治的にも大きな力を持っていることはわかっていますが、そもそも原子力村とは何なのでしょうか?村長さんは一体誰なのでしょう(笑)。経産省ですか、電力会社ですか、自民党国会議員ですか、御用学者ですか、それとも、日米原子力協定を延長した米国なのでしょうか?この人たちが未来永劫原子力利権を手放そうとしないことがこの国のエネルギー政策を捻じ曲げているのではないでしょうか?
13.etc.
まだまだあるかと思いますが、処理水の海洋放出の政府決定については、疑問に思うことだらけです。都合のよい説明やデータに惑わされないことと、感情論よりも冷静な検証が必要だと思います。
なお、本件を取り上げるにあたって、ネットで様々な情報やデータを参照しましたが、中でも、元朝日新聞記者 烏賀陽弘道さんの動画「福島第一原発 ALPS水・海洋排水に関する12の誤りを指摘する」は秀逸です。烏賀陽さんには、以前に『「Jポップ」は死んだ』(2017年、扶桑社新書248)という本を書かれていた時に、取材に協力したことがありますが、真実の追及を貫く姿勢を堅持した、今や日本では数少ない本物のジャーナリストの一人だと思います。
また、もともと原子力技術者でありながら、福島の事故以来、反原発の活動をされている元京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏の「原発汚染水はなぜ流してはならないか」という講演動画 も参考になります。
※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』2023年9月1日号の一部抜粋です。興味をお持ちの方はこの機会にご登録ください。
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