「ローカルSDGs」調査で見えた。民間の努力に比べて足りぬ“官”の活動

Tokyo,,Japan-july24,2018:,A,Group,Of,Volunteer,Workers,Cleaning,The,Road
 

地域循環共生圏を目指す「ローカルSDGs アクションフォーラム」が、地域で活動するNPO等を対象にSDGsに関するアンケート調査を実施。回答率はわずか1%ほどで30件しかなかったものの、熱は高く、課題を浮かび上がらせたようです。メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』著者で、生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む引地達也さんは、SDGsの国際目標に対して国の取り組みが足りないと指摘。SDGsと地域活動の親和性の高さから、国が動けば、多くの団体の活動がより活性化すると期待を示しています。

地域の思いをSDGsに乗せていくための「官」の役割

国連NGO、JACE(日亜文化交流協会)が運営するローカルSDGsアクションフォーラムはこの度、地域で活動する特定非営利活動団体等を対象に簡易的なアンケート調査を行い、SDGsに関する活動や日本社会の取り組みへの所感を聞いた。

内閣府及び都道府県から認証を受けている特定非営利活動法人及び企業と試験運営団体合計2868件にメール(一部郵送)にてアンケートを依頼し、回答のあった30件を集計・分析した。数は少ないものの、回答した30団体の地域への思いと活動の活性化に向けたエネルギーに満ち溢れた内容である。

30団体は環境保全、産業振興、福祉型支援、困窮者支援等、本来の設立目的は多岐にわたり、各活動がSDGsにつながることを所望している意向がうかがえる。地域で「社会のために」活動しているNPO団体等は特に地域貢献を基本姿勢としているため、グローバルな視点で地域での取り組みを推進するSDGs活動とは親和性が高いはずである。

回答では、30団体のうち16団体が「11 住み続けられるまちづくり」を現在の活動対象と回答したことは、地域貢献というNPOの基本姿勢を反映したものと解釈できる。

この目標は過去40年間で半数以上の人々が自然災害などで避難や移住しなければならない状況の改善を目指すもので、特に紛争地域での深刻な状況の克服も念頭に置いているが、「住む」ことへの不安、そして安定に対する思いは自然災害の多い日本でも根強い。

さらに「住む」という生活の基本をSDGsの目標と合わせる形で自らの活動の足掛かり、もしくは活性化に役立つとの考えも動いているもようで、これは「ローカルアクション」としては、自分の行動や身近な活動が世界規模で活動しているSDGsの取り組みと合致する。それは、自らの活動の活性化につながる可能性を感じているのである。

さらに次に多かった「3 すべての人に健康と福祉を」「4 質の高い教育をみんなに」の16件はすでに福祉サービスや困窮者支援等、SDGsが始まる以前から社会課題に対するアプローチを実践している団体からの回答であり、これまでの活動の社会的周知を広げるためにもSDGsとの融合は強く待たれることだろう。

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