ターゲットは日本だけなのか。中国が進める「服装禁止令」を考える

 

3.中華民族の標準服策定を

中国政府が服装を規制することの影響について考えてみたいと思います。まず、欧州のような、「時代を表現するファッション」は姿を消すでしょう。

「ファッションは時代を映す鏡」とも言われます。不安な時代には、不安な気分を表現するファンションが登場します。現在は、「性の多様性」も重要なテーマになっています。しかし、中国政府の価値観に合わないファッションが禁止されるのでは、自由な表現はできません。そして、自由な表現が規制されている国で、ファッション文化が発展することはありません。

次に、中国共産党の意向に沿った標準服の登場と発展について考えてみたいと思います。現在は、特定の服を禁止しようとしていますが、その範囲が曖昧です。それなら、多様性を排し、中華民族の標準服を策定した方が安全ではないでしょうか。この服を着ていれば、政府から文句を言われないという服装です。

一度は民族衣装を捨てた中国ですが、今度は新たな民族衣装を生み出すかもしれません。中国服装設計士協会が主催する北京コレクションでも中華民族標準服コレクションを発表すればいいと思います。中国流行色協会は、中華民族標準服装カラーを発表するのはどうでしょうか。

世界に誇る中華民族の標準服を策定し、世界に打ち出せば良いと思います。そして、中国共産党員には、率先して標準ファッションを身につけることを義務づけましょう。くれぐれも、欧米のラグジュアリーブランドなどを身につけないようにお願いしたいものです。

編集後記「締めの都々逸」

「感情害すと 文句を言われ それなら裸で 勝負する」

昔々、某国では、ノースリーブのブラウスでも「露出が多い」という理由で規制されていました。でも、露出が多いといって動揺するようではまだまだですぞ。どんな服装でも動じない胆力が必要です。

大体、服装について言いがかりをつけてくる奴なんて大したことありません。外見ばかりを気にする小心者です。ということで世界は笑っています。

大国なんだから、もっと堂々としなさい。服装に文句を言うなら、標準服を作って無料で配給しなさい。国営企業で作ったら、儲かりますよ。新たなる国民生活のインフラです。そこまで行けば、中国半端ないと言われますぞ。(坂口昌章)

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