関東・首都圏大雪とも無縁ではない“世界の気候変動”。改めて考えたい「日本の家屋が寒すぎる」問題

Tokyo,,Japan,-,January,22nd,,2018.,Pedestrian,In,Shibuya,During
 

5日から6日にかけ、警報級の大雪が降るとされる関東甲信地方。世界各地では異常気象が相次いでおり、アメリカも先月「生命を脅かすほどの寒さ」に襲われたと伝えられましたが、いったい何がこのような状況を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、地球温暖化と寒波の関係性を考察。さらに日本の住宅が厳しい寒さに対応できない理由を明らかにしています。

アメリカを厳しい寒さが襲う 「生命を脅かすほどの寒さ」 地球温暖化が寒波をもたらす

1月半ば、北米を厳しい寒波が襲った。気温がマイナス40度を下回ったところもあり、米メディアによると22日までに凍死や交通事故など、寒波による死者が少なくとも95人に達したとのこと。

米国立気象局(NWS)は、

「生命を脅かすほどの寒さ」(*1)

が予想されるとの注意報を出す。

北極気団が南下したために、寒波が発生。寒気は、カナダ国境からメキシコ湾岸に沿った各州にまで広がった。

アメリカ国立気象局(NWS)は14日に、約1億1,000万人が住む地域、つまり全米人口の約3分の1にあたるエリアに寒冷警報を出す。

寒波の影響で、各地の交通網が凍結や積雪により大混乱に。航空情報サイト「フライトアウェア」によると、12日から21日までの10日間で、アメリカ発着の便の約3割にあたる7万4,000便が遅延し、1万4,900便が欠航となる。

寒波による事故も発生。たとえば、ニューヨーク州東部の国際空港では18日、アメリカン航空の飛行機が着陸時に滑走路を滑り落ちる事故が。幸いにも乗っていた53人の乗客は全員無事。

さらに、シカゴ市の郊外にある電気自動車(EV)の充電ステーションでは、厳しい寒さのためにバッテリーの充電ができず、多くの車が立ち往生する事態となる(*2)。

なぜ地球温暖化が各地に寒波をもたらすのか

寒波は世界中で発生。昨年のこの時期、日本にも「10年に一度の最強寒波」が襲来。

大雪のため、JR西日本の京都線など18本の列車が駅の間で一時立ち往生。乗客を乗せたまま、朝方まで停車した列車もあり、体調不良により16人が搬送された。

中国の黒竜江省・漠河市では、昨年1月22日の朝に市の記録として史上最低のマイナス53度を記録。

このような寒波は、普段、北極上空に存在する寒気が南下したことが原因だろう。通常、北極上空では偏西風が北極を取り巻くように周り、寒気は極地に留まっている。

ところが、この偏西風が蛇行。偏西風の蛇行には、ラニーニャ現象など複数の要因が組み合わさって起こると考えられており、それに加えて「地球温暖化」により北極域の海氷が解けて大気の流れが変わった可能性も。

このことが偏西風の蛇行を促進し、寒気をもたらしたという(*3)。

九州大学応用力学研究所の森正人助教(気候変動)は、TBSの取材に対し、

「温暖化が今後より進行すると、より極端な気象が発生しやすくなる。極端な寒波は温暖化が進んだ将来には、頻度が減少すると予測されています。ところが温暖化の過渡期である現在のような気候では、温暖化が、逆にその寒波の発生を助ける場合もあるという見方もある」(*4)

と述べた。

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