助言したのは法務省関係者?有田芳生氏が明かす、安倍元総理が「裏金廃止」に動いた真相

Kyoto,,Japan,-,Sep,07,,2013:,A,Poster,Of,Japanese
 

自民党の「裏金問題」は、3人の議員が逮捕、略式起訴、在宅起訴されましたが、巨額の記載漏れが明らかになった“大物”疑惑議員たちは、収支報告書の訂正で逃げ切ってしまうのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』で、ジャーナリストの有田芳生さんは、出鱈目な政治資金収支報告書に対して国税が動く可能性に言及。一連の疑惑が表面化した経緯を振り返りながら、鼻が利く安倍元首相が裏金廃止を決めた真相にも迫っています。

安倍晋三元総理が「裏金」廃止を提案した真相(上)

国会の衆議院予算委員会で自民党の裏金問題が議論になっている。今後の展開に関わって、2つの問題がある。ひとつは安倍晋三元総理が、銃撃される2か月ほど前の2022年5月に、裏金システムを辞めようと提案した意図だ。

もうひとつは東京地検特捜部が国会議員を逮捕(池田佳孝)、略式起訴(谷川弥一)、在宅起訴(大野泰正)して、捜査に区切りを迎えたが、これで終わるのかという見通しだ。いま政治の焦点になっている自民党の裏金問題は、『赤旗日曜版』のスクープから始まった、とされている。

2022年11月6日号はあらましこう報じた。

自民党派閥が同じ団体に売ったパーティー券の代金を議員ごとに分散して報告することで、政治資金規正法が記載を義務付ける20万円超を購入した団体名の政治資金収支報告書への不記載を暴露したのだ。その総額は約2500万円。

まさにスクープだった。そこにコメントした上脇博之・神戸学院大学教授が新年に調査をして告発、そこから東京地検特捜部が動き出した。これまでの定説だ。

ところが「違う」という関係者がいる。『赤旗日曜版』記者が地道に調査して問題を明らかにし、金額まで示したのは事実で、それがいまに続く重要な役割を果たした。しかし安倍晋三元総理が派閥の裏金システムを廃止しようと提案したのは、『赤旗日曜版』スクープの約7か月前、2022年4月だった。パーティは5月17日、例年のように開催された。その売り上げを議員に還流しないことをいったん決めたことには理由があった。

「このシステムが表に出ると深刻な政治問題になりますよ」。安倍晋三元総理に伝え、説明したのは法務省関係者だった。森喜朗政権時代から続いてきた裏金を政治資金規正法違反で告発されたなら、安倍派のほとんどの議員は逃げることができない。

安倍元総理は自分の裏金が明らかになることも避けなければならなかった。そこで裏金システムを廃止することを決断したのだった。ところが派内からは反対意見も出た。安倍元総理は──2022年7月8日には銃弾に倒れる。それを奇貨として「安倍派5人組」は、裏金システムを続けることを決めたのだった。2022年8月のことだ。『赤旗日曜版』スクープの約3か月前である。

この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 助言したのは法務省関係者?有田芳生氏が明かす、安倍元総理が「裏金廃止」に動いた真相
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け