「書店のランキングを大きく左右する」という問題
大量購入はまた、リアル書店やネット書店のランキングを大きく左右する。これに起因する問題を口にするのは、書籍出版経験もある50代のライターだ。
「ランキング上位になるとそれを売りにして出版社は広告も打ちますし、書店はポップなどで大々的に売り場展開します。テレビを始めとしたメディアも取り上げますから、宣伝効果も抜群です」
しかしこの場合、何が問題となってくるのだろうか。
「宗教関連では昔からよく耳にするケースですが、例えば先日亡くなった池田大作氏や大川隆法氏は、信者から集めたお金で自著の大量購入をしていたという話も流れてきていました。これはある意味、信者も納得しているからマシですが、二階さんの場合は裏金、もしくは税金を使っていたとなれば悪質と言わざるを得ません。お話しした通りメディアもこぞって取り上げますから、大量購入は世論や印象すら操作できるんです」(同前)
男性ライターが言う通り、仮に二階氏の大量購入に税金が使われているとなれば、血税で世論操作・印象操作を行っていたことになり、悪質極まりない。
2017年には『週刊金曜日オンライン』が「安倍首相の政治団体が『アベ本』を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも」という記事で、『約束の日 安倍晋三試論』(小川榮太郎/幻冬舎)を、「10月16日に丸善書店で900冊を約140万円で購入。翌月11月9日に、紀伊國屋書店新宿本店で900冊、丸善日本橋店でも140冊を購入した」と伝えている。これも「世論操作・印象操作」のために行われたのだろうか。
【関連】安倍首相の政治団体が「アベ本」を4000冊以上購入、有権者に無料配布の疑いも
さらに浮上してくる大きな疑惑
加えて、二階氏の書籍大量購入に税金が使われていたとした場合、次のような疑いも生まれてくる。以下、順を追って解説する。
二階氏の事務所は書籍大量購入の目的の一つとして、「関係者などに配布」という理由を挙げている。書籍は「無料」で配布されることになるが、著者や版元は売れる当てのない多くの在庫を抱えることはない。つまりノーリスクで利益を得られるのだ。
ここで一つの「if」を唱えるのは、40代の男性ネットメディア編集者だ。
「もし仮に、出版社の利益や著者印税の一部が二階氏にキックバックされていたとしたら、それは原資を税金とした裏金が二階氏の懐に入っていたことになり、マネーロンダリングと言っても差し支えないと考えます」
事実、ネット上にもこんな書き込みが散見される。
《税金使ったマネロンだろこれ》
《二階が税金使って本買って印税が還流されてるってことないの?だとしたらマネロンだよね》
《著者から献金受けてたらそれもう立派なマネロンです》
今回公表された購入リストに、二階氏本人が著した書籍は含まれていないため、「還流」がない限り違法性は指摘できない。が、二階氏を巡っては幹事長在任中の5年間に党から50億円もの政策活動費を受け取っており、その使途も明らかにされていない。そんなカネを配られた子飼いの政治家たちが、派手な飲み食いや「女性遊び」としていたとしても、もはや国民は驚かないだろう。
右派メディアにも疑われる「血税を使った世論操作」
選挙が近づくと、『月刊Hanada』や『月刊Will』といった右派雑誌と呼ばれるメディアが、こぞって政権与党を持ち上げ野党を貶めるかのような特集を組み、これでもかと言わんばかりに電車の中吊り広告などを打っていた。
「ああいったメディアにも官房機密費から少なくないカネが渡っていたという話も聞いたことはあります」(前出の40代男性ネットメディア編集者)
こちらも原資は税金。血税を使った世論操作は今後も行われるのだろうか。