バザーのように出展された各種団体は従来のメディアリテラシー教育を担ってきた団体から、インターネットニュース会社、大学のゼミ、個人でのアート活動など多岐にわたった。
グーグルマップで見つけた風景を絵で描く活動では、コロナ禍を乗り越え、グーグルマップで空間を超えた国際的なつながりが生まれる柔軟な世界が示されたし、スマートニュース研究所からは、従来のメディアリテラシー教育が米国のトランプ前大統領の支持者らが「フェイク」を信じる状況下で困難さを極めている現状も語られた。
このようなメディア側や市民の活動がごちゃまぜのバザーをリテラシーで括るという取り組みは新しい何かを生み出す胎動が始まるようなワクワク感がある。
立教大学の中原淳教授は、この集まりを「説明が難しい」と言う。
ゲーム作家で東京工業大教授である山本貴光氏は「(説明が)すんなり出てこないのは悪い事ではない。すらすら出てしまうほうがやばい。悪くない。『大人の学園祭』は良い言い方だ」と総括した。
人が個体として本来持っているケアの感覚と、人がつながりグループ形成する時にも意識するケア、同時にグループ形成の目的に囚われ、他者の排除に向かうことで薄らいでいくケア、この狭間にある私たちの社会に目を向けていこう、という通底する感覚は共有できたに違いないが、この狭間をどのように表現し、また環境整備をしていくかはこれからの課題だ。
毛利嘉孝・東京芸術大教授は「新しいものにつながれる」ことの重要さと、表題の「大人」について「大人って誰?」を考える面白さにも言及した。
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