プーチンが、アメリカに「最後通牒」をつきつけた理由
アメリカが要求に応じることはないとわかっている。では、プーチンはなぜ、「最後通牒」をつきつけたのでしょうか?
「アサドを守るため」だろうと思います。アサド政権が倒れれば、当然(ウクライナ同様)親欧米政権が誕生するでしょう。新政権は、シリアのロシア海軍基地を閉鎖し、ロシアを追い出すことでしょう。中東におけるロシアの影響は、(イランは残りますが)著しく衰えます。
今までロシアは、アメリカと共に和平を推進してきました。しかし、停戦合意発効直後に、アメリカ軍がアサド軍を「誤爆」し60人が亡くなったことで、「アメリカは、停戦を続ける気がない」と判断した。それで今度は、強硬な姿勢を示すことで、「アメリカが軍事介入すれば、ロシアと戦うことになるぞ!」と脅している。アメリカとしてもロシアと直接対決はしたくありませんから、「空爆を考え直すだろう」との読み。
実をいうと、こういうプーチンの強硬さ、アメリカのエリートにとって悪くないのです。というのは、プーチンが暴れると、プーチンとの和解を宣言しているトランプが厳しくなる。アメリカエリート層、最大の課題は、プーチンを抑えることではなく、トランプを落選させて、「エリートの味方」ヒラリーを勝たせることなのです。
もて遊ばれるのは、シリアの人たちの命…。
image by: Evgeny Sribnyjj / Shutterstock.com
『ロシア政治経済ジャーナル』
著者/北野幸伯
日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝の無料メルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。
<<登録はこちら>>