今回「3分間書評」で取り上げるのは、ソフトバンク後継者育成機関の第1期生に選ばれ、事業プレゼンで1位の成績を修めた達人がお送りする一冊。「なぜ自分のプレゼンは受けが悪いのか?」と悩むあなたは、是非手に取ってください。『毎日3分読書革命! 土井英司のビジネスブックマラソン』でも、その魅力的なプレゼン術に大興奮しています。
『社内プレゼンの資料作成術』 前田鎌利・著 ダイヤモンド社
こんにちは、土井英司です。
高校時代、最も熱心に読んだ受験参考書は、「小論文の神様」樋口裕一先生の『ぶっつけ小論文』でした。
※参考:『ぶっつけ小論文』
ゆうに20年以上売れ続けている本書のウリは、「型通り書けば、誰でも点数の取れる小論文が書ける」。
事実、土井はこの本で小論文対策をし、模試で全国トップ、試験本番では慶應義塾大学の総合政策学部と文学部に合格しました。
(いま流行の『ビリギャル』の手法のはしりです)
このように、世の中には優れた「型」というものが存在し、その通りやれば、一定の成果を上げられるもの。
と、前ふりをした上でご紹介したいのが、まれに見る好著、『社内プレゼンの資料作成術』です。
著者の前田鎌利(まえだ・かまり)さんは、ソフトバンクの孫正義社長の後継者育成機関「ソフトバンクアカデミア」第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得したプレゼンの達人。
その優れたプレゼンノウハウを活用すると、プレゼンの採択率が上がり、社内の意思決定が速くなると評判の方です。
『経営は実行』とはよく言ったものですが、ある程度の規模の企業になると、実行の速さとはつまりそれ以前の決定や根回しの速さと言っていいかもしれません。
※参考:『経営は実行』
そういう意味で、本書は単なるプレゼン本ではなく、企業の効率を著しくアップさせる、そんなポテンシャルを持つ一冊です。
本書の優れた点は、いわゆるTED本やジョブズ本ではなく、あくまで社内プレゼンに絞って書かれていること。
著者も「はじめに」で述べているように、「ジョブズを生半可にマネても、かえって決裁者の心証を害するのがオチ」なのです。
では、社内プレゼンではどんなことに気をつけたらいいのか?
著者によるとそのポイントは2つ。「シンプルであること。そしてロジカルであること」。この2つです。
本書では、すべてのビジネスパーソンが守るべき社内プレゼンの「型」そしてプレゼン資料の作り方を提案しています。
(1)課題→(2)原因→(3)解決策→(4)効果
の4つのポイントを順番に述べ、説得力ある資料を作れば、プレゼンは確実に通る、というのが著者の主張です。
資料に関しても、
(1)表紙
(2)ブリッジ・スライド
(3)本編スライド
(4)アペンディックス(別添資料)
の「4つのパーツ」で作ることを提案しており、こちらも型通りでOK。
これだけでも買う価値がありますが、さらにすごいのは、着実に決裁に持っていく、著者の戦略的思考。ここまで考えて作られた社内資料は、正直初めて拝見しました。
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