社員のアイディアが商品に!米3Mに学ぶ「やる気を引き出す」経営

 

「所属する理由」と「やる気が出る理由」

お金が人にやる気を出させる唯一の手段である」という考え方は直截的で多くの経営者がそう信じています。従業員は一段能力が劣るのだから、命令しお金で釣ればいいんだという考えを主張もすることもあります。しかし、その「考え方」で継続して業績を上げている事業所を見かけたことがありません。

業績を上げるには、「人とは何か」を知る必要があります。働く人の「やる気」を出させるにはどうしたらよいか。この課題は経営者にとって永遠の課題ですが、そのことに答える理論があります。アメリカ臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグ動機付け・衛生理論です。約200人のエンジニアと経理担当事務員に対しての調査によって確かめられました。

結論は「満足する要因」と「不満足を引き起こす要因」は異なるということです。「仕事上どんなことによって幸福と感じ、また満足に感じたか」「どんなことによって不幸や不満を感じたか」という質問を行いました。人の欲求には二つの異なる種類があり、それぞれ人間の行動に異なった作用を及ぼすことが分かったのです。

たとえば人間が仕事に不満を感じる時は、関心は自分たちの「作業環境」に向いているのに対して、人間が仕事に満足を感じる時は、その人の関心は「仕事そのもの」に向いています。前者を「衛生要因」、後者を「動機付け要因」と名づけました。 

<動機付け要因>
仕事の満足に関わるのは、「達成すること」「承認されること」「仕事そのもの」「責任」「昇進」など。これらが満たされると満足感を覚えるが、欠けていても職務不満足を引き起こすわけではありません。

 

<衛生要因>
仕事の不満足に関わるのは「会社の政策と管理方式」「監督」「給与」「対人関係」「作業条件」など。これらが不足すると職務不満足を引き起こします。満たしたからといっても満足感につながるわけではなく、単に不満足ではないというだけで「精神衛生が悪くない」という意味しか持ちません。

少しややこしいのですが、給料が多くていい人間関係に恵まれていれば、その職場を辞めることはありません。しかし、辞めないけれど一生懸命仕事チャレンジすることはありません。人によっては遣り甲斐がないので転職する人も出てきます。

一方、自分の好きな仕事を任され、その仕事に生きがいを感じるとき、さらにそれが達成されて周りの賞賛を受けるとき、遣り甲斐は最高潮に達して一生懸命にチャレンジします。ただし、給料が安く人間関係が悪ければ会社を辞めてしまうこともあります。

不満の要因」と「満足の要因」は全く異なります

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