夢の外資系企業に転職、その後に待ち受ける「キャリア固定化」のワナ

 

もう一つの問題は、こうやって採用されるとジョブディスクリプションに書かれた事以外の仕事はやらなくなるんです。

例えば、サポート業務で雇われたのに、「ちょっと人がいないからウェブサイトの更新をやってよ」なんて言われて、これをやってあげても自分の評価にならないんです。だって自分の評価軸はジョブディスクリプションに書かれている職責の範囲内に於ける実績だけですから。さらにこれを手伝って失敗をしたら面倒な責任だけ負わされる事になるでしょ。

だから外資系で頻繁に聞く会話は、「なんでオレがそれをやらなきゃならないの?」だったりします。

これがまた自分のキャリアを固定化させるんですよね。 

キャリアを変えるために必要な事

外資系ではジョブディスクリプションに与えられる仕事の細かな内容が記述されている、その業務を出来る人、やった事がある人、実績がある人、そのために必要な知識や能力を持っている人を、人種や性別、年齢に関係無くフェアに雇いますよという制度になっているんですね。

これはこれでフェアなんですが、こういう環境だからこそ、新たなキャリアを積む事が出来にくいんです。件の彼、実はサポートでは無くて、マーケティングや営業をやりたいのかも知れません。もしかしたら人事を任せたらものすごく実績を上げるかも知れません。ところが欧米の企業では、彼がそういう仕事に就ける可能性はほとんどありません。

だって彼にはそういう業務に必要な経験や実績が無いからです。-_-

会社としても彼をマーケティング担当で雇いたくても、他にマーケティングの経験がある人が応募してきたら、その人を不採用にするわけにはいかないんです。片や経験も実績もゼロ、片や5年間の経験があるとなったら、いくら前者の人にセンスや才能を感じても彼を採用するとアンフェアになっちゃうんですよね。

ですから欧米では、一度キャリアを作ったら、その枠の中でどうやって上を目指すか、さらに実績を究めて高い単価をもらうかという道筋の中でしか生きられないんです。つまりキャリアについてはスゴく不自由なのですよ。これがスペシャリストと言われる人たちなのです。

では私はどうやってあれこれと頻繁にキャリアを変えたかというと、当初香港の友人と一緒に仕事をしていた時には確かにサポート系の仕事をしていました。これが2年か3年くらい続きましたかね。その間に、人事上の部下が数名出来るようになって、所謂管理職(サポート系での)になりました。

ここまではごく一般的なキャリアの積み方をしています。

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