従来型ビジネスモデル崩壊か。「マイカー」という言葉が消える日

 

この3つだけで、進化圧としては十分で、ここから10年の間に自動車産業そのものが大きな変化を遂げることは確実ですが、その先に来る「市街地の自動運転車」は、「自動車の所有」という文化を先進国から消し去ってしまうほどのインパクトを持っていると私は見ています。

市街地での自動運転が実用化されれば、(30~50年ぐらいかかるかも知れませんが)最終的には、市街地には運転手の乗っていない自動運転車だけが走るようになると私は見ています。利用者はいつでも必要な場所に自動運転車を呼び出し、目的地に着けば(駐車場のことなど心配せずに)乗り捨てることができます。これにより、事故はなくなり、これまで駐車場だったスペースが有効活用できるようになります。

つまり、自動車は「持つもの」から「必要に応じて借りるもの」に変わるどころか、地下鉄と同じように都市のインフラとなって単に「利用するサービス」へと変わるのです。

こんな大きな変化が起ころうとしている中で、既存の自動車メーカーが今何をすべきで、これからどんな分野に投資して行くべきかは、とても重要なテーマです。何もしなければ、日本の家電メーカーがたどったのと同じ道を歩むことになることは明らかですが、では、どのタイミングで何を捨てて何に投資をして行くのか、という経営判断になると簡単ではありません。

いずれにせよ、確実なのは、ソフトウェアやネットを活用したサービスがこれからますます重要な役割を果たすことだし、自動車メーカーといえども「ものを売る」ビジネスから「サービスを提供する」ビジネスへのシフトをして行かなければ生きれないということです。

 

週刊 Life is beautiful』より一部抜粋

著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。
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