勝手にやり始めたことをむしろ喜ぶべき理由
この状況が生まれるためには、以下の条件が揃う必要があります。
・スマホというハイテクツールの使い方に熟練する
・1つの機械の中に、複数の異なるアプリが入っている、という仕組みに気が付く
・「何か面白いものがあるかも」という好奇心と、「探してみよう」という探究心を抱く
子どもが、これら3つ全てを持てているということは、むしろ喜ぶべきこと。
ゲームの是非とは別に、この認識は持っておいてあげたいところです。
また、この教育アプリを与えられてプレイするということについて、子どもの側からはどのように見えているか?を一度考えてみておくことも、強くお勧めします。
この視点は、スマホなどのハイテク機器との付き合い方を考えるうえで、とても役に立ちますよ。
(1)親に与えられた新しいオモチャで遊んでみた
↓
(2)謎を解いたり、問題に答えたり、宝を探したりなど、課題をクリアして進んでいくのが面白い!
↓
(3)しかも、だんだん難易度が上がって、新しい要素が出てくるので、飽きない!
↓
(4)集中して遊んでいたら、親も満足そう(^_^)
そうしているうちに、徐々に前述の3つの要素(スマホ操作に熟練、多様なアプリの存在を認識、面白いものを探す好奇心と探究心)が育ち、ゲームアプリを見つけます。
見つけたゲームをしている時の子どもは、こんな状態です。
(1’)自分で見つけた新しいオモチャで遊んでみた
↓
(2)謎を解いたり、問題に答えたり、宝を探すなど、課題をクリアして進んでいくのが面白い!
↓
(3)しかも、だんだん難易度が上がって、新しい要素が出てくるので、飽きない!
↓
(4’)集中して遊んでいたら、今度は何故か、叱られた(+_+)
多くの教育アプリは、子どもの集中力・興味関心を引き出すために、ゲームの要素を盛り込んで作られています。
ゲームと教育アプリには、プレイする時の子どもの感覚に共通するものがある、ということをわかっておきましょう。
そのため、『ひらがな学習アプリなら褒めて、ゲームなら叱る』という接し方は、何が良くて何が悪いのか理解しにくい状況に子どもを追い込んでしまうということ、認識しておく必要があります。
「親が選んで与えたものはOK、自分で勝手に見つけたものはNG」
という基準が頭に浮かんだ方もいるかもしれません。
でも、仮に子どもが自分で『足し算れんしゅうアプリ』を見つけて学習していたら?
この境界線の設定が、非常に曖昧で脆いものだということ、ご理解いただけますよね。
子どもも、自分自身が理解・納得したルールであれば守ることができます。
目が悪くなる心配や、日々の暮らしに支障が出ることを説明して、毎日の時間制限を決める──などは充分に可能でしょう。
その際は、キッチンタイマーを使用するのがお勧めです。
プレイに集中していると時計を見ることを忘れがちです。
時計を見ることに意識を向けず、集中して取り組んだ方が成果も出るでしょう。
また、残り10分、残り5分で音が出るタイプのタイマーならさらにグッド。
集中している時に急に「おわり!」と言われるよりも、「あと10分」「あと5分」と言われて心の準備ができた方が、スッキリ終了しやすいものです。
「このアプリはいい、あのアプリはダメ」のルール決めについても、親子で話し合って『子ども自身が理解して、本心から納得したルール』が作れるなら、それでも良いでしょう。
また「ルールで縛る」以外に、声掛けによる働きかけという方法もあります。
学習の成果を認めて声をかけてあげることでさらなる意欲を引き出し、(他のアプリではなく)親の薦めたいものに取り組むように促す方法です。
「ひらがな、いっぱい書けるようになったね!」
「いつの間にか、足し算ができるようになったんだね!」
子どもの達成感・得意な気持ちに寄り添うことを意識して言葉を選んであげれば、どんな言い方でも大丈夫です。
ここまで教育アプリを使うことについていろいろ書きましたが、本音を言えば、
・小学校に入る前から、あんまり詰め込まないで!それよりも、外遊びに連れて行ってあげて!
・入学後も、放課後・休日まで追い掛け回して勉強させないで!それよりも、友達と遊ぶ時間と空間を確保してあげて!家では、ゆっくり休ませて充分に甘えさせてあげて!
ということの方が、ずっと大事だと思っています。
勉強が大切ではない、という主旨ではありません。
外遊び・友達との遊びをたっぷり楽しんで、しっかりと休息を取れるように育てた方が、問題解決能力やコミュニケーションスキルなどの“幸せに生きる力”が伸びる(そして結果的に成績も良くなる)、という考えです。
子どもに早くからいろいろ学習させなくては、と焦りそうになった時にも、今日の内容を思い出していただけたら、うれしいです!
image by: Shutter stock
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