行間を読み取れ。新聞主要各紙のトップ記事を内田誠がぶった斬り!

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原発事故がなかったらなあ…

【読売】の1面トップは、東芝の不適切会計についてで、「利益水増し 2事業400億円」。今現在、営業利益の水増しが疑われている500億円のうち、スマートメーターとETCの2つの事業に関わる分が全体の8割、400億円に上ることが分かったとの記事。東芝にとって、主力の原子力事業の先行きが不透明になり、上記2つの新規事業での収益拡大を急いでいたため、コストが増えても決算に反映させなかったということらしい。関連記事が9面にあり、「多角化」の難しさという観点で今回の不適切会計の背景を探っている。

uttiiの眼

東芝にとって原子力事業がいかに重要な部分を占めていたのかが分かる。営利企業としては、当てに出来なくなった原子力に見切りを付け、新たな収益分野を開拓する当然の行動の中で、会社上層部の期待の大きさを忖度して決算を誤魔化そうとしたということなのだろう。「新規事業分野、しっかり儲かっています!」と嘘をついた

しかし、「主力の原子力事業」という言い方、《読売》が言っているので本当なのだろうが(笑)、それ自体、衝撃的なことだ。9面の関連記事には、多角化の試みが不適切会計につながっていく経過が書かれている。福島第一原発の事故以前、2015年度に原子力事業で売り上げ、実に1兆円を目指していたのだそうで、落ち込みを埋め合わせるべく手を出した慣れない新規事業で工期が遅れるなど、コストが大幅に増えてしまったことが原因なのだという。可哀想な東芝…。何の罪もない東芝にこんな苦労をさせるなんて…。という《読売》の声が聞こえてくるような気が(笑)。やはり原子力事業の再活性化、なかでも原発再稼働こそが、東芝を含む総てを癒やしてくれるということなのだろう。ああ馬鹿馬鹿しい。

 

続きでは以下の毎日新聞、東京新聞の一面も解説しています。

【毎日新聞トップ】日中関係が良かったらどれだけ大勢来ていたことか…

【東京新聞トップ】「屋根なし五輪」決定

 

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『uttiiの電子版ウォッチ』2015/5/20号より一部抜粋

【2015/5/20号の目次】
■はじめに
・松野頼久氏が維新の党代表の座についたことで、ちょっと面白いことが起きるかも
■フラッシュ・ニュース
・維新、代表に松野氏、幹事長に柿沢氏
・米国防総省「日本でのオスプレイ運用変更の計画ない」
・安保法制特別委設置を議決、野党は名簿提出拒否
・都知事会見、500億円要請で国を批判
・日馬富士、臥牙丸にも金星献上
■【朝日新聞トップ】学校における義務教育の挽歌、なのか?
■【読売新聞トップ】原発事故がなかったらなあ…
■【毎日新聞トップ】日中関係が良かったらどれだけ大勢来ていたことか…
■【東京新聞トップ】「屋根なし五輪」決定

著者/内田誠(ジャーナリスト)
朝日、読売、毎日、東京の各紙朝刊(電子版)を比較し、一面を中心に隠されたラインを読み解きます。月曜日から金曜日までは可能な限り早く、土曜日は夜までにその週のまとめをお届け。これさえ読んでおけば「偏向報道」に惑わされずに済みます。
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