貧乏人は野球を観るな?ヤンキースCOOの発言は格差社会の象徴か

 

高額なチケットは特権性や優越感に対してカネを払っている

高いことでは定評(悪評?)があるヤンキー・スタジアムのチケットとほどではないが、私にも似たような経験がある。
2013年のWBC、サンフランシスコでのファイナルラウンドでのことだ。

この時は、販売開始直後に準決勝2試合&決勝戦で322ドルの通しチケットを購入した。
ところが、その約2ケ月後にサンフランシスコに乗り込むと、どの試合のチケットも私が購入した価格の1試合当たりの金額の半額以下で正々堂々とMLB.comで販売されていた。
正直なところ、私の隣の席に座っているお客が本来の価格の半額以下でその席を購入しているかもと考えると、心おだやかならぬものがあった。

私の経験は単に「オレが払った金額と割引客の払った額の差をどうにかしてくれよ」というだけだが、トロスト発言にはもうひとつ興味深い点がある。

金持ち客は隣にビンボー人が座っていることを快く思わない」ということは、高価な席は排他性という価値観も正価での購入客にオファーしているということだ。

確かに、エクスクルーシブネスは大事だ。閉鎖的なメンズクラブなどでは「格下」と思われるメンバーが増えると、トップクラスのメンバーは離れていく。
球場でも、高価な席を買う客は「そこならゲームが良く見える」ということだけでなく、特権性や優越感に対してもカネを払っているとも言える。

ビジネスマンとしてはトロストの視点は全く正しい。しかし、表現と場が適切ではなかった。
貧乏人差別と捉えられても仕方ない表現だった。

image by: CristinaMuraca / Shutterstock.com

 

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著者/豊浦彰太郎
1971年のオリオールズ来日以来のMLBウオッチャー、豊浦彰太郎がその魅力をディープにお伝えいたします。かつて衛星放送のMLB中継の解説者を6年間務め、現在は専門誌『SLUGGER』に寄稿する傍ら、J SportsのMLBホームページにコラムを掲載させていただいています。本業は野球とは何の関係もない会社員です。プロではないからこその何のしがらみもない忌憚のない主張、TV観戦のツボ、知られざる歴史、現地観戦旅行のコアなTIPS、いままで訪れた数々の野球博物館や球場跡地・・・並みの情報では満足できなくなった「病膏肓に入った」アナタにお届けします。
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