安倍首相は「中国」連呼。G7エルマウサミットは成功だったのか?

 

欧州の「本音」は、「中国と争いたくない」

とはいえ、実をいうと、欧州にとって中国による「埋め立て」問題などどうでもいいのです。

なぜ?

理由は、「距離」です。

もっというと、中国や南シナ海は、欧州から「遠すぎる」。「国益」にはいろいろありますが、「もっとも大事なことを2つ挙げろ!」と質問されたら、

  • 金儲け(=経済的利益)
  • 安全の確保

となるでしょう。どっちも大事ですが、実をいうと、「安全」が「経済」より優先されることがしばしばあります。

たとえば、欧州は、「経済的利益」を犠牲にして、「対ロシア経済制裁」をしています。

では、「中国による南シナ海埋め立て」は「欧州の安全を脅かすのか?」。

答えは、「全然脅かさない」でしょう? つまり、欧州にとって、中国は「脅威でない」。だから欧州は、対中国では、「金儲け一番」なのですね。

同じ理由で、ロシアとウクライナが東欧で争っていても、正直日本には関係ない。

「遠い」から。

しかし、日本は、ロシアに制裁しています。本音をいえば、「つきあい」で制裁しているのです。

欧州も同じで、「南シナ海埋め立て問題」はどうでもいいが、日米との「つきあい」で「強く反対」している。そして、本音は、「南シナ海はどうでもいいから、中国と金儲けしたい」ということなのです。

G7が南シナ海における中国の行動にそろって反対姿勢を示したことは、習近平政権が近年、強引に進めてきた対外拡張路線そのものに「ノー」を突きつけたとも受け取れる。

 

中国外交は1989年の天安門事件後に経済制裁を受けて以来、久しぶりに厳しい状況に直面したといえる。

 

しかし、中国政府は強気の姿勢を崩していない。

 

その理由について共産党関係者は、「G7で南シナ海問題を提起したのは中国と対立する日米だけで、ほかの国々は遠く離れた場所で起きたことへの関心はほとんどなく、反対はポーズにすぎない可能性が高いからだ」と説明する。 (産経新聞 6月9日)

「G7で南シナ海問題を提起したのは中国と対立する日米だけで、ほかの国々は遠く離れた場所で起きたことへの関心はほとんどなく、反対はポーズにすぎない可能性が高い。

まさしくこれが、「G7の現状に関する正しい認識」といえるでしょう。

>>次ページ では、世界の中の日本の現状はどうなのか?

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