国内外で笑いものに。中国がG20サミットで大恥をかいた3つの事件

 

また、習近平を「教養のないことが恐ろしいのではなく、教養がないのにあるふりをすることが恐ろしい」とこき下ろしたり、言い間違えに引っ掛けて「裸になることが怖いのではなく、『王様は裸だ』と誰も指摘できないことが怖い」などいう批判も次々と登場したため、当局は検索や閲覧をすぐに禁止しました。

そもそも習近平は精華大学で博士号を取得したとされていますが、その博士論文はゴーストライターが書いたものだとか、他の論文を剽窃したものだという噂が絶えません。そのため皮肉を込めて「習近平博士」などと呼ぶ人もいるくらいです。

今回の件では、「貿易が盛んになると商売が忙しくなって痩せてしまうから、衣服がぶかぶかになる(寛衣)」という、「習博士がつくった成語」だから間違いではない、という痛快な揶揄もありました。

いずれにせよ、世界が注目するG20で大恥をかいた格好となってしまったわけです。かつて日本でも首相の漢字読み違いが取り沙汰されたこともありましたが、言論の自由がない中国では当局がすぐに削除、閲覧禁止にするため、かえって注目が集まる傾向にあります。

そして習近平がいくら自分を神格化しようとも、中国人民から人気がないことも明らかになってしまいました。習近平にとっては大失敗のG20だったのではないかと思います。

アメリカが中国の鉄鋼製品に反ダンピングなどで522%の関税を決定、EUでも中国製太陽光パネルに対して同様に関税をかけるなど、中国製品への関税を引き上げる動きが活発化しています。習近平のスピーチは、これを牽制して各国の関税を引き下げ中国の過剰生産を解消したいという願望の現れでしょう。

改革開放後の中国では、自力更生の道を捨て、外国との通商によって生きる道を探ってきました。そしてここ30年来、中国は世界最大の通商国家となりました。

通商国家として欠かせないのは、他国との共存共栄」です。いくら中国経済が順調であっても、他国の中国製品を買う能力が低下すれば、いずれ中国経済も没落が避けられなくなります。それが人類史の教訓です。

そのため、中国が通商国家として生きるための最低条件は、唯我独尊の中華思想を捨てることです。他国を恫喝したり、紛争を仕掛けていては、通商国家としては成り立ちません。

しかし、習近平はスターリン主義と毛沢東主義への復活を目指し、国内での言論統制を強化し、他国に対してもあからさまな覇権の意思を見せています。というのも、権力基盤を持たない習近平が党内の長老や旧来の権力者との権力闘争を打ち勝つためには、それしか手段がないからです。

「中華民族の偉大なる復興」「海洋強国」という覇権的スローガンを掲げながら通商国家として他国に受け入れてもらうなどということは不可能です。

そうした対外貿易と国内政治の二律背反性が、現在の中国に混乱をもたらす大きな要因となっています。だから習近平の外交は失敗続きなのです。

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