【京都】平安時代へ時間旅行。都の秋を彩る「時代祭」の歩き方

 

平安神宮の桜の美しさは谷崎潤一郎の細雪」、川端康成の古都」の中でも描写されています。谷崎潤一郎の「細雪」の主な舞台は芦屋と大阪で、京都が登場するのは春。主人公たちは花見だけは毎年京都と決めていて、春になると連れ立って行くのが恒例の行事になっている。あちこちの花の名所を回り、いつも最後をしめくくるのが平安神宮の神苑のしだれ桜でした。

谷崎潤一郎「細雪」

この神苑の花が洛中における最も美しい、最も見事な花であるからで、円山公園の枝垂桜がすでに年老い、年々に色あせていく今日では、まことにここの花をおいて京落の春を代表するものはないといってよい。

川端康成「古都」

みごとなのは、神苑をいろどる、紅しだれ桜の群れである。今はまことに、ここの花をおいて、京落の春を代表するものはないと言ってよい。

「古都」の文章は谷崎が「細雪」で書いた文章を川端康成がそのまま引用しています。いずれの文学作品の中でも平安神宮の桜は大絶賛されています。日本の自然の美の描写の素晴らしさを評価されノーベル文学賞を受賞した川端康成が絶賛する紅しだれ桜の美しさは今も健在です。昔より美しいものがより身近にある現代でも、自然美でこれほど美しいと思えるものは他にないと思わせる平安神宮神苑の紅しだれ桜。一生に一度は見るべき景色だと思います。

神苑の出口付近には、桜の花びらにちなんでピンク色の紙でつくられた「はなみくじ」があります。そのおみくじを満開成就の結び木に結んでいくと、桜が咲いたように見えるという粋な演出です。ちなみに「大吉」は「満開」と書いてあります。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

image by: Vlastimil Kuzel / Shutterstock.com

 

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