実は「健康効果」が証明されていない、7つのスーパーフード

2016.09.26
 

4. クコの実(ゴジベリー)

 

ウルフベリーとも呼ばれ、枸杞子と呼ばれる果実、クコの実は大変高価です。

みずみずしい時は実はピンクで引き伸ばしたぶどうのようで、乾燥させるとピンクのレーズンのようになります。

そのままで気軽に食べられ、何かに混ぜたりもします。

中国の漢方医だったLi Ching-Yuen(李青曇)はクコの実をたくさん食べたことで197歳まで生きた(256歳という説もあり)とされますが、本当のところはどうでしょうか。

クコの実は中国では漢方薬として長年にわたり重用されてきましたが、効能が証明されているというわけではありません。

ヨーロッパの伝統薬と同様に中国の漢方薬が昔も今もたいていは時間の無駄か有害なものであるという証拠が提示されているということです。

クコの実を食べたり、ジュースにして飲むことはほとんどの場合悪いことではありません

しかし他の果物に比べて効果が高いという証拠はどこにもないということなのです。

研究ではクコの実がガン、心疾患その他様々なものに効果があるとされていますが、これらは大量のクコエキスを元にしたものであるとされ、普通に食べている量ではとうてい及ばないと言われています。

5. チアシード

 

チアシードは古代から存在するチアという植物の種で、水分を含むとかさが増してジェルのようになるため、飲み物をドロっとさせたり変わったジェリーを作ることもできます。

他には、何にでもまぶしたり、小麦粉に混ぜて焼いたりもできます。

味はあまりしません。

スーパーフードの代表格とされるチアシードはオメガ3脂肪酸を豊富に含むからだと言われています。

オメガ3脂肪酸は脂分の多い魚に含まれるもので、このような魚を含んだ地中海地方の食習慣が世界中で大変健康的とされている理由です。

100gのチアシードに17gのオメガ3脂肪酸が含まれているというのはすごいことで、これは鮭の約8倍に相当する量です。

しかしながらチアシードのオメガ3は魚に含まれるものとは違う種類のもので、体内でチアシードの種類が魚のそれに変わるには大変非効率となってしまうそうです。

つまり100gにつき1.8gとなってしまい鮭の2.3gと比べて実際には減ってしまうということになります。

さらには、100g分のチアシードを摂取するのは大変で、この分量のカロリーは486キロカロリーとなりほぼビックマックと同じになってしまいます。

このオメガ3脂肪酸を摂取したいなら、魚を食べるべきです。

魚は心血管系の病気になりにくくするのに、文句なしで体に良い食べ物です。

政府も一週間に2切れ(そのうち1切れは脂分の多いもの)を食べるよう推奨していますから。

魚由来以外のオメガ3の効果についてははっきりせず、特にチアシードの効用についてはほとんど証拠がないというのが現状です。

6. テーブルビート(ビーツ)

 

お年寄りの中には、ビーツの味はミルクや牛や羊などのタンに似ていると思っている人がいるかもしれませが、今では忘れ去られたものが再び注目される存在になっているようです。

生をローストする、そのまま火であぶる、ピクルスにする、ジュースにするなど優れた野菜の1つです。

葉の部分をたべるのはチャード(フダンソウ)という種類で、クラシックな紫色をしたビーツの汁はあなたもお皿もキッチンも、そして後日あなたの排泄物も見事にそめてしまうというとんだ副作用に注意です。

野菜全般がそうであるように、ビーツもビタミンやミネラルについては諸説あります。

そのために他の硝酸塩を多く含む野菜同様、“スーパーフード”、スポーツサプリメントなどにどうにかして位置づけたいという思惑操作と同時に、それによって健康を害する懸念も同時に発生してしまうのです。

ビーツはジュースにすると若干ではありますが血圧を下げる効果があるようです。

おそらく硝酸塩が体内で一酸化窒素に変わることで血管に良い効果があるからだとされています。

実際には血圧を下げる必要がある場合は一酸化窒素の効果よりも、塩分を控えた食事と医師が処方する薬を飲みながら運動をするほうがいいでしょう。

他にはビーツジュースを運動する前に飲むと普段の運動において酸素がより多く体内に取り込まれるために持久力があがるという研究結果もあります。

赤肉を食べた場合、硝酸塩はニトロソアミンを作り出してしまうため、大腸がんのリスクが増えるともいわれます。(食べない人のリスクが5.6%に対して、たくさん食べた人のリスクは約6.6%ということです)

ビーツに含まれる硝酸塩はニトリソアミンに変わる可能性も否定出来ないため、欧州食品安全機関(EFSA)はビーツは1日2個までと推奨しています。

7. 海藻

 

海藻は日本をはじめとする東アジアで主に食べられてきました。

意外かもしれませんが、英国ウエールズでは「レイバーブレッド」というのりの一種が炭鉱労働者の朝食の中でよく食べられるそうです。

海藻はビタミンB12 が豊富な、動物性でないまれな食べ物です。

サプリメントで補いたくないベジタリアンの人にとっては重要な食品です。

このように、栄養不足になりがちな、でも錠剤を嫌う少数派の人にとっては、海藻はスーパーフードの類に入ります。

それどころか誰にとってもこれらは美味しくて健康によいものなのです。

ただしこのスーパーフードには大きな問題点があります。

それは体に必要な分量以上にミネラルを摂り過ぎるとその他のものが吸収されなくなってしまうということです。

海藻に含まれるヨウ素、繊維、アルギン酸は、体重減少に効果があるとされてきましたが、この効果のほどは証明されていません。

さらに、ヨウ素を摂り過ぎてはいけない別の理由もあります。

ヨウ素の毒性甲状腺の働きを弱めてしまったり体重を増加させたりします。

その生息地域によっては、海藻には重金属が含まれていたりすることもあるため、大量に取り入れた場合には健康障害が生ずることもあるようです。

フィリピンやタンザニアのような特定の場所では、海藻を養殖するためにマングローブが切り倒されています。

一方で海藻の養殖場は他の生物にとってよい環境になっている場合もあります。

 

グローバル化により情報が世界規模で共有され、欧米人にとって見慣れない海藻、逆に日本にとって見慣れないチアシードも広く知れ渡るようになり、食の世界もボーダレスになりつつあります。

世界中どこでも、健康でいたい、健康にいいものを食べたいという欲望は同じですが、情報に踊らされずぎないことも重要といえそうですね。

image by: Shutterstock

Source by: 英ガーディアンWikipedia日本スーパーフード協会スーパーフードリストスーパーフードの魅力愛好家のレシピビーツの健康作用

文/桜井 彩香

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