現時点で見えた「トランプ政権」の輪郭を、しっかり分析していく

 

政権人事が始まった。まず、全体像としては以下のような構図が見られる。

▼第1グループとして保守系の優秀なブレーンをどう使いこなすか、すでにワシントンでは多くの「まともな」人材が次期政権への売り込みを開始しているが、そこからしっかり一流を見抜いて抜擢できるか。

▼第2グループとしては、それでも「コアの支持者を納得させられるようなユニークな政策」をどこかに「まぶす」必要があるし、選挙運動初期からの功労者にはポストを配分しないといけない、つまりトランプ色を完全には消せない、そのバランスがどう作れるか?

▼第3グループとしては、実はトランプの政策のかなりの部分がクラシックな民主党政策、民主党系で国民の信頼があり、共和党とも協調できる人間を取り込めるかも重要なポイント。

▼レインス・プリーバス(共和党全国委員長)をチーフ・オブ・スタッフというのには、1と2の妥協を期待してというニュアンスを強く感じるが、彼は豪腕ではないので、先行きは分からない。もしかしたら持たないかもしれない。とにかく、3月にはトランプ下ろしを画策して失敗、今度は7月にはトランプ勝利確定に動いたという変節漢であるし、そもそも「そんなに大物ではない」。

▼政権移行委員会のトップを、クリスティNJ知事からペンス次期副大統領に代えたのは良い兆候。第2Gから第1G重視にシフトということだろう。ちなみに、同性婚支持をハッキリ言ったのは、(これは選挙運動中からブレてはいないが)ペンス氏などの「宗教保守派」の勝手にはさせないという政治的駆け引きも感じられる。

▼個人的な期待感は、アシュトン・カーター国防長官の留任だが、これは無理だろう。オバマがブッシュ後半のゲイツ国防長官を留任させたのとは文脈が違いすぎる。カーター氏は、ここ数ヶ月、トルコ、イラクの現地視察で、込み入った現場の情勢をようやく把握しつつあるだけに、続投させたいが。

▼軍の関連では、共和党政権らしく軍備の更新には積極的なようなことを言っているが、まだ序の口。例えば、オバマが途中でキャンセルした「究極の戦闘機F22」や「ハイテクの塊である次世代駆逐艦の「ズムウォルト級の増備を再開するようならホンモノ。まだ、そこまでは言い出していない。

政権への家族の関与というのは、一見すると公私混同でおかしいが、ビジネスも子どもたちとの集団指導でやってきているので、仕方ない面もある。それに親父さんより常識的な人々特に長女とその夫、あるいは次男)なので全く悪い動きではない。第1Gにシフトするという動きも、子どもたちの意向が入っていそう。

▼それより、一家のビジネスをどうするのか、利益相反は絶対にダメなので、全部売っぱらうしかないのでは?

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