築地をすっ飛ばし、魚業界に革命を起こした「羽田市場」誕生秘話

 

有名寿司店が続々来店~築地の目と鼻の先に魚屋

新年早々、東京・銀座に現れた羽田市場。ここで新たな戦略が始まると言う。

「銀座の料飲店組合から魚がほしいという話をいただいて」出店した、羽田市場の直営店だ。銀座の飲食店向けだが、午後3時からは一般客にも解放する。並んでいるのはもちろん「朝獲れ」だ。

「北海道も九州も、漁師さんに自信のあるものだけを出してもらっているので、銀座のどんな一流店でも納得していただける自信があります」(野本)

開店すると、ほどなくお客がやってきた。築地市場の取引が終わるタイミングに合わせて店を開け、足りない魚を選んでもらう。銀座の飲食店は夕方からの営業が多いので昼以降もじっくり買えるようにした。

プロの料理人から見て、ここの魚はどのように映るのか。築地「越後寿司」の板前は「これはプロが見たらみんなすごいと思うよ。ハッカクなんて普通ない。築地にもないんじゃないの」。築地に店を構えて90年、「築地玉寿司」の中野里陽平社長も「こういうお店ができたことは嬉しいですね。思わず買っちゃいました」と、北海道・増毛産の活きボタンエビを手にした。

銀座の一流店も認める魚を誰でも買うことができる。野本は今後もこうした店を増やしていくつもりだ。

「旬は何かとか、こういう使い方がいいよ、煮魚にしなということを、今まで魚屋さんが教えてくれていたのが、そういうのがなくなったので、我々がそういう立場で、お客様に旬の美味しい食べ方を提案したり、そういうことをやっていきたいですね」(野本)

スタジオで、このまま取扱量が増えていったら飛行機に載らなくなるのがネックという野本。村上龍は「いつごろ専用機を買うのか」と聞かれると、「ほしいですね」と答えた。

~村上龍の編集後記~

羽田市場の流通システム、野本さんの、シンプルかつ正統な考え方と行動が不可能を可能にした

1年の3分の1、漁師さんの船に乗る。現場から学び、同時に知識を現場に伝える、そのやりとりが、流通システムに反映されている。

だから他社がシステムだけを真似しようとしてもできない

高卒後、お金も目標もモチベーションもなかったフリーターの青年が、明確なターゲットを得て、強さを発揮し続けている。

燃料満タンでほとんど走っていない車のようなものだ。

野本さんは、いつか必ず百機の飛行機の便を確保するだろう。

 

<出演者略歴>

野本良平(のもと・りょうへい)1965年、千葉県生まれ。高校卒業後、実家の業務用食材卸会社に入社。2006年、回転ずしチェーン銚子丸入社。2008年、APカンパニー入社。2014年、CSN地方創世ネットワークを設立。

source:テレビ東京「カンブリア宮殿」

 

テレビ東京「カンブリア宮殿」

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