後醍醐天皇の御霊を慰め670回目の春。京都天龍寺に今年も咲く桜

 

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天龍寺は、作庭家としても有名な禅僧・夢窓疎石(むそうそせき)が建立した寺院です。奈良県の吉野で没した後醍醐天皇の菩提を弔うために、足利尊氏・直義兄弟に勧めで建立されました。

法堂の天井に描かれている雲龍図は、平成9年に加山又造が描いたものです。龍は法の雨(仏教の教え)を降らすという意味や、龍神が水を司る神であるということから建物を火災から護るという意味があります。そのため京都の主要な禅寺の法堂の天井には龍が描かれています。

天龍寺の曹源池庭園は、西芳寺(苔寺)庭園と共に1339年夢窓疎石が作庭したものです。夢窓疎石は、日本各地を転々としながら寺院の庭を作庭し、日本各地で疎石作の庭が存在します。その中でも西芳寺苔寺と天龍寺の庭の作庭は修行の集大成と伝わります。曹源池を中心に周囲に石組を施し、背後の亀山と雄大な自然美の景観を借景として取り入れました。

中世の庭作りのテキスト「作庭記」に、池は亀もしくは鶴の姿に掘るべしとあります。池は亀型で頭の部分を表現した亀島と呼ばれる中の島があります。正面には、禅のシンボルでもある龍が三段の石組で表現された龍門の滝に表現されています。

二段目の石は、鯉魚石(りぎょせき)と呼び、滝を登る鯉の姿を表したものです。中国に伝わる「鯉が滝を登ると龍になる」という故事を写したもので、「登竜門」という言葉の由来となったものです。

正面に立つ石は、釈迦三尊石と呼ばれ、中央は釈迦如来、左右はそれぞれ普賢菩薩、文殊菩薩に見立てられています。「見立て」は庭造りでとても大切な技法で白砂や石組などを海や山をイメージして配置する技法です。

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