高齢者は転倒しやすい。現役医師が明かす転倒予防対策のジレンマ

 

突破口はモビリティーにあり

実際はむしろ、よく動くようにするのは転倒の予防になります。病気で入院した高齢者に対して、安静の弊害を予防するために早期からよく動くように早期リハビリを導入するのは大切なのです。転倒予防の突破口は患者モビリティーにあるのです。

ボランティアを活用した入院患者さんに対する介入プログラムで転倒の頻度が減ることも示されました。代表的なものにHELPプログラムというのがあります。ボランティアが交代で患者さんに寄り添い、患者さんとの会話や介助歩行による散歩へ患者さんと一緒に病院内を移動するものです。ボランティアを訓練することにより患者さんの筋力やバランスの能力をアップさせるようなことを施すこともできます。

医療の質を評価する基準も見直すべきと思います。転倒をゼロにするのではなく骨折に至るような転倒を予防することにマインドセットを切り替えるべきです。そのためには患者さんのモビリティーを増加させるような指標を導入すべきです。例えば、1日に何回ベッドから離れてリハビリや散歩をしたかが重要です。ベッドアラームではなく加速度計を患者さんに装着しましょう。転倒予防チームは患者さんモビリティー促進チームに名称を変えるべきかも知れませんね。

 

文献:Brown CJ, Foley KT, Lowman JD Jr, et al. Comparison of posthospitalization function and community mobility in hospital mobility program and usual care patients: a randomized clinical trial. JAMA Intern Med. 2016;176(7):921-927.

 

image by: Shutterstock.com

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