京都の町家の屋根の上。ナゼか「中国の神様」が飾られている謎

 

なぜ京都を中心に広まった?

昔、三条に新たに薬屋を構えた時に大きな店の屋根に鬼瓦を葺きました。すると向かいの家の奥さんが原因不明の病に倒れてしまいます。原因を探ると、薬屋の鬼瓦により跳ね返った悪いものが向かいの家に入ってしまっていることが分かりました。そこで鬼より強い鍾馗さんを瓦屋に作らせ、魔除けに据えたところ奥さんの病が完治したと伝えられたのです。それ以降、京都では鬼瓦の対面に鍾馗さんを据えるようになったといいます。

ではどうして京都に広がったのでしょう? 京都人の性格上、向かいの家が鍾馗さんを屋根に上げると、同じように自分の家にも鍾馗さんを上げるからだと考えられています。向かいの家にそのようなことをされても京都人は文句を言わず黙って同じことをするからだろうということのようです。ただ、不快な思いをしないよう、近所同士にらみ合いにならないように正面を向いていない鍾馗さんの姿も多いようです。他にも微笑み返しという意味を込めてお多福を対面に据える場合もあるようです。今では屋根ではなく、玄関先に置くだけでも効果があるとも言われています。

昔から伝わる京都の鍾馗さんの姿はこれからもきっと受け継がれていくことでしょう。京都中心部西陣あたりの特に古い町並みなどを歩く機会があったら是非気にして見てみて下さい。

いかがでしたか? 京都は日本人の知識と教養の宝庫です。これからもそのほんの一部でも皆さまにお伝え出来ればと思っています。

 

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【著者】 英学(はなぶさ がく) 【発行周期】 ほぼ週刊

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