それはともかく、一方で、スカラムッチ広報部長は、プリーバスとは水と油であったというスチーブ・バノンについても、全く別の容赦のない批判を浴びせています。その言い方については、多くのメディアが「伏せ字」扱いをしていますが、文化の違う英国のガーディアンにはそのものズバリがあります。
● Scaramucci in furious, foul-mouthed attack on White House rivals
まあ、確かにそうだとしか言いようがないのですが、それにしても徹底的に突き放した言い方で、これはバノンとの間にも相当な確執があることを示唆しています。
その一方で、首席補佐官の後任にはジョン・F・ケリー国土保安長官が横滑りしてきました。このケリーという人は、海兵隊の叩き上げで、反テロ戦争の現場で戦ってきた人物ですから、何でも実務的に判断するタイプと思われます。
この時点では、2つの問題が浮かび上がっていました。まず、強面の実務派であるケリーと、ペラペラ喋るスカラムッチは、上手くいくのかという問題が一つ、そしてスカラムッチが、バノンをあそこまで罵倒した以上、両者の確執は一体どうなるのかという問題が生じます。
ところが、そこへ意外なニュースが飛び込んできました。何と、21日に就任して以来、11日という短い在任期間で「スカラムッチは解任された」というのです。7月31日午後(東部時間)のことです。
では、そのような混乱の中で、当面のトランプ政権の政策はどうなるでしょうか?
1つは、本当にケリーがホワイトハウスを掌握できるのかという問題です。例えば補佐官の中にはクシュナー夫妻(イヴァンカとジャレッド)がいるわけですが、発表によれば両名もケリーにレポートする、つまりケリーの部下ということになります。つまり、以降イヴァンカとジャレッドは、ケリーを飛び越して大統領と勝手に物事を決めるのはダメというわけですが、ケリーが就任に当たってこの点を警戒したということ自体が、既にケリーがこの両人をコントロールできていないということになるわけで、漠然とした不安は残ります。
スカラムッチ解任を受けて会見したセラ・ハッカビー・サンダース広報官(スパイサーの辞任に伴って副報道官から昇格)は、ケリー新首席補佐官は、厳格なマネジメントでホワイトハウスに秩序を確立するだろうと言っていましたが、本当に組織としてキチンと動けるのか、まだ良くわからないのです。