中国「劉暁波氏の死去」報道せず。強気姿勢を崩さない共産党の思惑

 

側近で固めたい幹部人事

中国共産党は5年に一度の党大会で幹部を大きく変え、ポスト習の人事もみえてくるので、秋に開催される党大会は内外の注目の的なのだ。党員数は約8,900万人、中央委員候補約150人、中央委員約200人、政治局員25人、常務委員7人の序列となっている。総書記(国家主席)と首相は常務委員の中から選ばれ、北京など重要地方の書記(トップ)は政治局員の中から、省の書記や省長、閣僚は中央委員や中央委員候補から選ばれることになっている。

しかし今回の習近平人事は、従来のヒエラルキー(秩序)にこだわらず、ヒラ党員を幹部に抜擢し習近平体制を固める狙いもあるとされ、フタをあけてみると仰天人事があるかもしれないといわれている。

習近平政権にとって気になるのは外交政策だろう。特にトランプ米大統領との関係がギクシャクすると世界にも影響してくるので要注意だ。

北朝鮮で米中の妥協難航、対中金融制裁も

米中関係では何といっても北朝鮮問題だ。アメリカは中国が北朝鮮に影響力を及ぼすことでミサイル発射や核開発を抑え込みたいとしているが、中国は本気で動いている気配がないうえ、北朝鮮は米国本土に届くミサイル開発を急いでいる。このため、トランプ政権は中国の貿易会社への捜査に着手し金融制裁を課すとしている。中朝貿易の7割は、中朝国境沿いの丹東市を通過するとされ、今後の火種となることは必至だ。また、中国当局の民主運動弾圧に対しても米・欧の批判が根強いだけに中国がどう対応するか注目される。

バブル崩壊は間近か、公共事業で必至に支え

さらに国内経済も決して順調とはいえない。6~7%台の成長を維持しているというが、実態はバブル崩壊に近いようだ。特に土地投機や住宅投資が目立ち、マンションや住宅公団のビルが立ち並ぶものの、実際に住む人は少なく投資、投機目的で買われているケースが多いようだ。

中国は2014年から金融緩和に入り、住宅価格が高騰する。さらに住宅ローンの規制緩和で主要70都市の新築住宅価格指数は前月比上昇した都市が16年3月に62都市となり、16年末に政府はバブル抑制策の強化に乗り出した。このため富裕層は海外に資産を逃避しはじめているのが実態だ。7月に日本にやってきた格安航空会社の機内トイレに布袋が隠されているのが見つかったが、数十キロの金塊だった。この1年間で日本に持ち込もうとした金塊は少なくとも400キロに上るという。バブル崩壊が現実化してきているのだ。

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