中国「劉暁波氏の死去」報道せず。強気姿勢を崩さない共産党の思惑

 

国営企業の不正会計も目立つ

また日本の会計検査院にあたる中国審計署が主要大手20社を調べたところ、9割にあたる18社で不正水増しが見つかり、ここ数年で売上高の水増しは約3兆4,000億円に上ったという。中国では国営企業の不明朗会計が常に指摘されてきたが、今回は中国石油天然気集団公司、東風汽車公司、中国化工集団公司など石油、自動車、医薬、鉄鋼、船舶など世界でも著名な企業が軒並み不正会計をしていたことが明らかにされた。

国営企業の経営は、多くを共産党幹部が握り、政府などと癒着しているケースが多いとされる。今回の国営企業の不正会計摘発は党大会を前にもう一度、反腐敗の姿勢を示し、大衆的人気の確保を狙ったともみられる。

ただ光明は農村部でネットなどを使った消費が増えてきていることだろう。人口が3億人といわれる農村部で沿岸部のような消費が活気づくと中国経済はそう簡単にはバブル崩壊とはならないだろう。

中国経済は富裕層が投機で稼いだカネを海外に持ち出す動きが目立ち、経済政策としては政府資金を公共投資に注ぎ込みバブル崩壊を食い止めているが、いよいよ限界にきつつあるということなのか。反腐敗取締りの再強化と一帯一路計画の大宣伝などで何とか資金を確保し経済安定化を図りたい思惑が見え見えだが、中国は依然、内憂外患の危機が去っておらず、共産党大会を前にできるだけ大掃除をして習近平2期目の政権をスムーズにスタートさせたい思惑があるようだ。(TSR情報 2017年7月27日)

 

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ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

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【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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