なぜ日本は、「中国包囲網」を主導してはいけないのか?

 

なぜ日本は、「中国包囲網」を主導してはいけないのか?

これは、第1にアメリカにバックパッシングされる可能性があるから」です。「バックパッシング」(責任転嫁)とは何でしょうか?

A国には、強大な敵C国がいます。でも、A国は、自分でC国と戦いたくありません。だから、J国をC国とぶつけて、自分は「漁夫の利」を得ることにしました。

つまり、アメリカは、中国を脅威と認識している。でも、中国はアメリカ国債を世界一保有している国なので争いたくない。そこで、アメリカは日本を煽って中国にぶつける。日本は経済力第3位で、自衛隊もなかなか強い。アメリカは、日中の戦いを静観し自分だけ得をします。アメリカは、こういうことをする国です。

たとえば、03年の革命で、ジョージア(旧グルジア)には、親米反ロ傀儡政権が誕生しました。ジョージアは、08年にロシアと無謀な戦争をし、敗れ、結果二つの自治体を失いました(アプハジアと南オセチアは、独立宣言し、ロシアが国家承認した)。

たとえば、ウクライナでは14年2月に革命が起こり、親ロシア・ヤヌコビッチ政権が倒れました。そして、親米反ロの傀儡政権が誕生した。14年3月、プーチンは、「クリミア併合」を決断します。14年4月、ドネツク、ルガンスクが独立を宣言し、ウクライナで内戦が勃発します。これは、どうみても、「米ロ代理戦争」でした。

第2に、「梯子を外される可能性がある。これは何でしょうか?

日本とアメリカは、元気よく「中国バッシング」をしていた。ところが、アメリカで政権が交代し、「やっぱり中国とは仲良くしたほうがいいよね」となった。それで、「日米 対 中国」という構図が壊れ、「日本 対 中国」になってしまった。

これも、十分ありえます。

たとえば、ロシアとジョージアの戦争は08年8月です。08年9月、リーマンショックが起こった。それで、米ロとも戦い続ける力がなくなり、和解することにした。いわゆる「米ロ再起動時代」が到来した。ジョージアは見事に梯子を外されたのです。ちなみに、ウクライナも、同じような状態にあります。トランプは、米ロ関係がどうあれ、「親ロシア」。それで、ウクライナのポロシェンコ大統領に、非常に冷淡です。

だから、日本も、先頭を走って中国バッシングをするべきではありません。日中関係は、米中関係と同じぐらいの暖かさ、あるいは冷たさであるべきです。

ここで再度Oさんの、

バックパッシング戦略を取るべきと主張されていますし

私が「アメリカをバックパッシングしよう主張している」と解釈されても仕方ないですが。私が主張しているのは、

  • アメリカ、ロシア、韓国との関係を強めることで、中国の「反日統一共同戦線戦略」を「無力化」させましょう。

この一点です。ここに「アメリカをバックパッシングして中国にぶつけようという意図はありません

たとえば、アメリカが、「対中国バランシング同盟をつくろうぜ!」と言えば、日本はもちろん参加する。たとえば、アメリカが、「やっぱり、中国とは仲良くするべきだよな」といえば、「おっしゃるとおり。平和が大事です」と言って、日中関係を改善させる(とはいえ、中国が尖閣強奪に動けないよう、日米関係は日中関係より強固である必要があります)。

これって、「結局対米従属ってことですか?」と憤る人もいるでしょう? 従属じゃないです。中国の戦略を無力化させるための対中戦略なのですから。これは、日本の「主体的な選択」です。その証拠に、日本は、オバマさんに逆らってロシアと和解したではないですか? これは、中国の「反日統一共同戦線」を無力化させるためです。「対米従属」であるなら、オバマさんから叱られて、「すいません。プーチンを日本に呼ぶのはやめます」となったでしょう。

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